「リビングルーム / ミシェル・ブラジー」を観て

銀座メゾンエルメスフォーラムで開催中の「Living roomⅡ/ Michel Blazy」が面白い!


ミシェル・ブラジーはモナコ生まれのフランス人で、生きているものとアートをリンクさせ、生もの(殖えるもの・腐るもの・消えるもの・・・)のサイクルを独自の視点で表現するアーティストです。個人的には、2012年に Le Plateau(パリ)で彼の個展を観てからずっと気になっていました。

パリではもっと挑発的でしたがこちらはトウキョウ仕様?お行儀がいいです。
エルメスに合わせて視覚的に美しく整えて来たのでしょうか。

一つ一つの作品は観るだけでも楽しめますが、多くのメッセージが込められているのでまさにリビングルームとしてじっくり滞在するのがお勧めです。分からない事や疑問に思った事はスタッフの綺麗なお姉さんに質問すると親切に教えてくれますよ。

<かたつむりを放つ>2009-2016


カタツムリの排出物で描かれた作品。カタツムリが制作するのですから制作年月もかかる。

<かたつむりを放つ>2009-2016 の全体像

 
絵本の中に迷い込んだ様な不思議な世界


雨で濡れた壁を演出しているのはビニールの様だけど、ある自然素材。だから剥がれ落ちもする。(何の素材かは会場で確認してね^ ^)

<珊瑚>2009

チョコレート・バニラクリーム・卵で出来た絵。ネズミがかじった跡もそのまま絵の一部になっている。 

<オーレリーの靴>2016

いつも草を踏みつけているスニーカーが今度は草に食べられてしまう?

<ハルオ>2016

ハルオさんのフェロモンが出る椅子。‘私はいい匂い’と思ったけど、スタッフのお姉さんは別の方がいいと言っていた…。(男性バージョンがもう一脚あります<フユヒコ>だったかな?女性バージョンの<アヤコ>もあります。)
 
日本では1999年の世田谷美術館・他「パサージュ:フランスの新しい美術」や、2011年の杜美術館「フレンチ・ウィンドウ」でも彼の作品が紹介されてきましたが、個展は今回が初めてだそうです。

銀座メゾンエルメス

~おまけ~
ご参考までに、以下は私が2012年にパリのLe Plateauで観たミッシェル・ブラジーの作品です。

 
<L'âcher d'escargots sur moquette noire>2009

こちらが<かたつむりを放つ>のパリバージョン。確か、かなり広範囲にカタツムリの生きた痕跡があるカーペットが轢かれており、鑑賞者は遠慮がちに爪先立ちで通り過ぎた気がする。

<cirecuit fermé>2012

蚊がいる閉ざされた部屋で食事をする。人の血を食する‘蚊’とその‘蚊’が属する動植物を食する‘人’の戦い?実際に会場を訪れた人が参加する。私も果敢に参加を申し込んだがその時間には既に予約が入っていて駄目だった(!)‘血’を通してすべての動植物は繋がっているとも言えるが、デング熱、ジカ熱などの解明から‘極力蚊には刺されない方がいい’という風潮なので、今後この作品の出品は難しいかもしれない・・・。

<La grotte>2012

このフェルトやコットンで出来た巨大な洞窟に植物などが生え、鑑賞者はこの洞窟の中に入れた。


洞窟の中から外を見ると自分が人間ではなく知らない動物になってしまった様で不思議な感じだった。

この他、余りの景色に写真を撮るのを躊躇した放置したオレンジの皮から膨大なカビが生え、もはや食べ物ではなくオブジェの様になってしまったあの有名な作品<オレンジバー>もありました^^。 






このブログの人気の投稿

【建築巡礼ー5:アールトによるルイ・カレ邸】

【アート通信ー25:ベルリン・集合住宅「ジードルング・ブリッツ」】

【建築巡礼ー9 : ル・トロネ修道院 abbaye du Thoronet】