【アート通信-9:建物と現代美術の融合例】
アンスティチュ・フランセ東京303号室 |
飯田橋と市ヶ谷の間、外堀通りから少し坂を 上がったところ、木々に囲まれた静かなアンスティチュ・フランセ東京の敷地 |
『アンスティチュ・フランセ東京』はフランス政府の公式機関で、朝から夜まで毎日開講の授業の他、フランスに関わる様々なイベントも開催しており、フランス文化を通して人と人の交流に寄与しています。
*イベントには通学生でなくても参加出来ます。
建築はル・コルビジェに師事し、近年その建物の保存で話題になった神奈川県立近代美術館など数々の名建築を建てたあの坂倉準三(1901-1969)によるものです。
そんな名建築にアートが施されたのは今から4年前の2012年の事です。
創立60周年の記念イベントでしたが、その時の事は今でも覚えています。
ある日学校行くと、学校全体がアートに乗っ取られていたのです!
皆、大騒ぎで隣の部屋、またその隣の部屋と次々に覗きに行きました。
皆の反応は、
「これって一時的なものよね?」
「ずっとらしいよ~。いいじゃない、楽しくて!」
「え~落ち着かない・・・。」
と賛否両論でした。
当時の館長も
「教職員の間でも賛成ばかりではなかった、意義を受けたこともある。」
と言っています。
そして彼は
「‘議論をもたらす’それが大事な事だ。」とも言っています。
物議を醸しだすからこそおもしろい、色々な意見が出てくるから逆に分かり合える。
白い壁に自由に施された16人のフランス人アーティストの作品が、取り繕った人々の心を開き、感想や意見を言い合えるようにしたのなら、それはとても意義のある素敵な事です。
「ずっとらしいよ~。いいじゃない、楽しくて!」
「え~落ち着かない・・・。」
と賛否両論でした。
当時の館長も
「教職員の間でも賛成ばかりではなかった、意義を受けたこともある。」
と言っています。
そして彼は
「‘議論をもたらす’それが大事な事だ。」とも言っています。
物議を醸しだすからこそおもしろい、色々な意見が出てくるから逆に分かり合える。
白い壁に自由に施された16人のフランス人アーティストの作品が、取り繕った人々の心を開き、感想や意見を言い合えるようにしたのなら、それはとても意義のある素敵な事です。
現代美術は、今の世の中を同じ時代に生きるアーティストが受け止め、彼らのフィルターを通して表現するものなので、現在進行形で均整の取れていない、デコボコしたものです。
それを建築の様に計算され、完成された美しさに重ねると動きが起き、そこからまた新たなうねりが生まれると私は考えます。
ところで、建築家がその命を削るようにして産み出したデザインにアートを施してしまっていいのでしょうか?
ところで、建築家がその命を削るようにして産み出したデザインにアートを施してしまっていいのでしょうか?
坂倉準三の建物はディテールに美しさが宿っていると思う。 特に、旧館のエスカルゴの様な階段は珍しい二重らせん階段で必見! |
上から見下ろしても美しい |
坂倉建築の特徴的な形の柱がある203号室、Guacolda<二重の婦人> |
「建築はつくる場所に適合し、その魅力を最大限引き出さなければいけない。つくった後の生き生きした姿が大事だ。」
とおっしゃっていました。
もし、彼が今の建物を目にする事が出来たら、皆が生き生きと楽しく使用している現状に満足すると共に、そこからご自身の作品の良さを再確認されるのではないでしょうか。
あれから、4年経って教室のアート達は今、
「今学期はどの教室かな?(どのアートの教室かな)?」
と学期ごとに新鮮なワクワク感をくれたり、脳みそが疲れた時に(アートに)目をやるとふっと肩の力を抜いてくれたりと、もうすっかり私達の生活に馴染み、無くてはならないものになっています。