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【アート通信ー68:「平山郁夫美術館」】

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 68回目のアート通信は、アート通信ー67で触れた生口島の「平山郁夫美術館」からです。 「平山郁夫美術館」の門 平山郁夫氏(1930-2009)はご存知の通り、戦後の日本を代表する日本画家ですね。私は、彼の作品に一貫して流れているのは〈祈りの心〉ではないかと思っています。 氏は15歳の時、学徒勤労動員先の広島で被爆し、その後遺症に苦しんでいました。その経験から、平和な世界を願い、仏教をテーマとした多くの作品を生み出しました。また、ヨーロッパ・中東訪問からは、東西の交易路であるシルクロードに注目し、それをモチーフにした連作を発表しました。シルクロードは仏教伝来の道でもありますね。 「仏教伝来」(1959)の原寸大陶版 氏の平和な世界を願う気持ちは、ユネスコ親善大使として世界の遺跡や文化財保護への尽力にも繋がっていきます。 また、東京芸術大学の教授、学長などを歴任し、後進の指導にも当たりました。 そんな偉大な美術家の幼少期の作品をも紹介しているのがこの美術館の特徴で、とても興味深いところです。実は、広島県・尾道市、生口島は平山氏の生まれ故郷なのです。 平山郁夫「なわとび」(1936) 例えば、こちらは氏が5歳の時の作品。‘ひら’と縄の音を書き加えているところは微笑ましいですが、縄が緩くたるみ、ゆったり動いている様子まで描ききれているところはさすがです!そしてカタカナで、‘ヒラヤマイクヲ’とサインも(!) 平山郁夫「やかん」(1941) こちらは、11歳の時の作品「やかん」。やかんだけ描いているのも渋いですし、このまま世に出せる程の出来栄えです。 幼年期の展示、より このように氏にはもともと絵心があった様ですが、それに磨きをかけたのは、お母様の教育方針でした。 息子は描く事が好きで上手、と知ると、彼女は絵日記帳を作り、長期休みには毎日遊びに行く前に必ず描く様に伝えます。彼女の「よし」が出ないと遊びにいけないので、いい加減には描けません。それが集中して描く習慣と、画力の基礎を作った、と氏は語っています。 幼年期の展示、より 館内の展示は、幼少期の作品だけではもちろんありません。仏教・シルクロードをテーマにした代表的作品の数々も展示されています。 展示室の様子 ハイビジョン室では、テーマ別に製作された分かりやすい作品解説が時間ごとに上映されているので、こちらもお忘れなく! 顔