投稿

6月, 2017の投稿を表示しています

「日本、家の列島ーフランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザインー」」

イメージ
  パリ、ブリュッセル、アムステルダムを巡回してきた展覧会で、汐留ギャラリーで開催中の「日本、家の列島ー・・・」を観てきました。企画主催がフランス人写真家で、展示にはパネル、写真、模型に加え、ドキュメンタリータッチの映像が使用されていました。これは分かり易かったです。というか感じ易かったです。   ‘映像’は、現在において意図したものとのずれを最小限にとどめ、一目瞭然で理解させる為の最高の手法だと思います。もちろんそれは映像制作者の腕と感性によるところは大きいですが。 *建築も将来的には映像にとって代わられるとも言われていますね。   今回の展示のすべての住宅に共通していたのは、やはりという感じではありますが自然との関わりです。そして私が一番気になった住宅は、住宅と言うより建物のほとんどが窓となっている、吉村靖孝さんの「窓の家」(2013)でした。どうやって住みこなしたらいいのだろう?と戸惑いながらも、ここに住んだら自分の生き方考え方までもが変化していく、そんな不思議な力を感じたからです。   6月25日(日)まで。イベントも魅力的です。   「日本、家の列島ーフランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザインー」

世田谷にひっそり佇む教会たち

イメージ
先日、縁あって世田谷の教会巡りをしました。 巡礼ではありません、 1930年~1960年代に建てられた特徴ある教会建築を見学する為です。あまり知られていませんが、それらは 住宅街の中にひっそりと点在していました。 例えば、1961年に竣工した 「東京聖十字教会」 は、 アントニン・レイモンド(1888-1976)の設計で蒲鉾 型の屋根が印象的です。 東急世田谷線の松陰神社前駅からすぐそばに建つ「東京聖十字教会」 屋根の端は地面すれすれ 京王井の頭線と小田急線が交差する下北沢駅の程近くに建つ 「東京聖三一教会」 は、竣工年は不明ですが資料によると1961年頃だそうです。 設計者は不明だが、デザインの特徴から前川國男かその流れをくむ者では?と言われている「東京聖三一教会」 青空にそびえる塔が美しい やはり下北沢駅近くに位置する 「富士見丘教会」 は加藤俊一の設計で1936年に竣工し、2003年には国の登録有形文化財に指定されました。今では考えられませんが‘富士見丘’という名前は当時ここから富士山が見えたことから付いた名前だそうです(!) 礼拝堂の天井を支える木組み構造が印象的な「富士見丘教会」 細部の装飾も手が込んでいる「富士見丘教会」 交通の利便性の良さからでしょうか、下北沢には この時代の教会建築が多く集まっています。 1962年頃竣工した 「頌栄教会」 も下北沢の駅そばです。 こちらの宣教の開始はなんとキリシタン禁令高札廃止の翌年(!)1874年です。牛込講義所が始まりだそうです。 モダンなつくり「頌栄教会」 「頌栄教会」のお向かいに位置するのは 「洗礼者聖ヨハネ教会」 、カトリック教会です。竣工年は1948年頃ですが、戦前フランスから輸入した建材を用いている為、実際より年代を経ているように感じられます。聖堂はロマネスク様式です。 ロマネスク様式の聖堂「洗礼者聖ヨハネ教会」 「洗礼者聖ヨハネ教会」の裏手には‘ルルドの泉’もある。 こちらの信徒会館は米軍の放出物資(!) 「洗礼者聖ヨハネ教会」のレトロなステンドグラス 教会建築の維持には、信徒さんの熱い想いと努力によるところが大きいと思います。下記のリンクから各教会の事をより詳しく知る事が出来ます。ご興

【アート通信―16:「京都府庁旧本館」】

イメージ
京都に旅行に行って役所に足を運ぶ方は余りいらっしゃらないと思いますが、ここには是非立ち寄って欲しいです! "ここは日本か?ヨーロッパでは?"と錯覚をおこしてしまうほど素敵な空間が一般公開されています(しかも無料!) 修道院の回廊の様に美しい「旧議場」の外廊下の光 それは 京都府庁旧本館 です。明治37年(1904年)に竣工されました。新館があるので「旧」と付きますが現在も現役です!使用されている官公庁の建物としては日本最古のものだそうで、2004年に国の重要文化財に指定されました。 正門から望む「旧本館」はまるで洋館の様な趣 設計は主に京都で活躍した、松室重光(1873-1937)です。ルネサンス様式の建物で、見事な細部にも注目です 。 「旧本館」はロの字に建てられているので、廊下に面した全ての窓から中庭を望める 「旧知事室」 1905年から1971年まで24人の知事が使用した「旧知事室」には凝った装飾の暖炉もあり、天井は格式の高い<格天井>になっています。 美しすぎる「旧議場」 そして極め付けはここ!議会が開かれていた「旧議場」はサロンの様な美しさです。大きな吹き抜け空間では、窓から差し込んだ光が白い漆喰の壁に反射しシャンデリアの華やかさも加わるとまばゆい程です。半円形の階段状に設置された議員席はダイナミックな雰囲気を、2階の傍聴席前をかたどるアーチは教会の様な荘厳な雰囲気を醸し出しています。 こちらは2013年まで京都府の情報センターとして使われていましたが、様々な資料を基に2016年に明治期当初の姿に戻しました。赤い絨毯(朱色の方)はオリジナルです。*製造する機械が存在せず、この絨毯が駄目になったらもう再現は不可能だそうです。 こちらでは見学が出来るだけではなく<土曜講座>というものが開かれています。申し込めば誰でも参加出来るので(*定員あり)、お近くの方は問い合わせてみたらいかがでしょう。 この「中庭」の景色はまるでヨーロッパの修道院中庭の様 現役で使用されている建物なので、廊下などでは職員の方とすれ違います。そんな時、自分が今どの時代に居るのか一瞬分からなくなり不思議な感覚に陥ります。ここの素晴らしいところは、再生して保存・公開しているだけではなく、撮