世田谷にひっそり佇む教会たち
先日、縁あって世田谷の教会巡りをしました。巡礼ではありません、1930年~1960年代に建てられた特徴ある教会建築を見学する為です。あまり知られていませんが、それらは住宅街の中にひっそりと点在していました。
例えば、1961年に竣工した「東京聖十字教会」は、アントニン・レイモンド(1888-1976)の設計で蒲鉾型の屋根が印象的です。
東急世田谷線の松陰神社前駅からすぐそばに建つ「東京聖十字教会」 |
屋根の端は地面すれすれ |
京王井の頭線と小田急線が交差する下北沢駅の程近くに建つ「東京聖三一教会」は、竣工年は不明ですが資料によると1961年頃だそうです。
設計者は不明だが、デザインの特徴から前川國男かその流れをくむ者では?と言われている「東京聖三一教会」 |
青空にそびえる塔が美しい |
やはり下北沢駅近くに位置する「富士見丘教会」は加藤俊一の設計で1936年に竣工し、2003年には国の登録有形文化財に指定されました。今では考えられませんが‘富士見丘’という名前は当時ここから富士山が見えたことから付いた名前だそうです(!)
礼拝堂の天井を支える木組み構造が印象的な「富士見丘教会」 |
細部の装飾も手が込んでいる「富士見丘教会」 |
交通の利便性の良さからでしょうか、下北沢にはこの時代の教会建築が多く集まっています。1962年頃竣工した「頌栄教会」も下北沢の駅そばです。こちらの宣教の開始はなんとキリシタン禁令高札廃止の翌年(!)1874年です。牛込講義所が始まりだそうです。
モダンなつくり「頌栄教会」 |
「頌栄教会」のお向かいに位置するのは「洗礼者聖ヨハネ教会」、カトリック教会です。竣工年は1948年頃ですが、戦前フランスから輸入した建材を用いている為、実際より年代を経ているように感じられます。聖堂はロマネスク様式です。
ロマネスク様式の聖堂「洗礼者聖ヨハネ教会」 |
「洗礼者聖ヨハネ教会」の裏手には‘ルルドの泉’もある。 |
こちらの信徒会館は米軍の放出物資(!) |
「洗礼者聖ヨハネ教会」のレトロなステンドグラス |
教会建築の維持には、信徒さんの熱い想いと努力によるところが大きいと思います。下記のリンクから各教会の事をより詳しく知る事が出来ます。ご興味のある方は訪れてみてはいかがでしょう。
「東京聖十字教会」
「東京聖三一教会」
「富士見丘教会」
「頌栄教会」
「洗礼者聖ヨハネ教会」