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【アート通信ー48:山梨県「清春芸術村」】

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第48回目のアート通信は、 山梨県北杜市にある 「 清春芸術村 」についてです。 「ラ・リューシュ」 「清春芸術村」 は、山梨県北杜市にある 複合文化施設で、 中央高速長坂インターより8分、もしくはJR長坂駅よりバスで10分のところに位置しています。 旧清春小学校の跡地を使用しており、敷地面積1万8000平方メートルの広大な敷地に2つの美術館、礼拝堂、茶室、アトリエなどが点在しています。 建物はすべて有名建築家によるもので、ここではアートだけでなく建物自体も楽しめます。 例えば、こちらの 白樺の森に建つ「ルオーの礼拝堂」の設計は、 谷口吉生 氏(1937-) です。 「ルオーの礼拝堂」外観 谷口氏は、日本では「 GINZA SIX(2017)」、海外では「ニューヨーク近代美術館 新館(2004)」などで知られる有名な建築家です。 谷口吉生氏(1937-)設計の「ルオーの礼拝堂」内部 内部には ジョルジュ・ルオー (1871-1958)の作品が展示してある他、入口の扉上のステンドグラスはルオ ー自身によるものです。 そして、こちらのユニークな建物は 建築史家でもある 藤森昭信 氏(1946-)設計の 茶室です。 茶室「徹」 高さ4メートル、内部は1.7坪で、梯子をかけて上ります。 16角形の遠くからも目立つ建物、「ラ・リューシュ」にはアトリエがあります。実はこちらの建物は、あの有名なパリのエッフェル塔を設計した ギュスターブ・エッフェル (1832-1923)の建物の再現なんです 。 1900年のパリ万博ワイン館を設計図通りに再現しました。 「ラ・リューシュ」内部のショップ アトリエは公開されていませんが、同じ作りの資料室とショップは公開されているので是非覗いてみましょう。 入り口付近に停まっている車にも注目です! 入り口近くに停まっている車 車内 こちらは、 日本で初めての移動アトリエ車です。1980年に好きな場所で絵が描けるようにと、フランスのシトロエン車を3方面ガラス面に改装しました。日本を代表する洋画家・梅原龍三郎(1888-1986)や日本画家・奥村土牛(1889-1990)などが使用したそうです。 ...

【アート通信ー47:香川県「豊島美術館」が出来るまで】

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第47回目のアート通信は、香川県の「豊島美術館」が出来るまで、です。 「豊島美術館」は瀬戸内海に浮かぶ面積14.5㎡の小さな島、 豊島 にある美術館で、2010年に開館しました。「ベネッセアートサイト直島」で有名な公益財団法人福武財団により運営されています。 水滴をイメージした美術館外観 「美術館」という名称ですが、ここには内藤礼氏(1961-)の「母型」という作品しか展示していません。鑑賞時間は早い人なら3分程、入場料は1570円。しかもここまでの道のりは、高松から豊島まで船で約30分(1日3〜5便 *鑑賞に間に合う便は2〜4便)、港から美術館まではバスで15分(1日数本)、と気の遠くなる道のりです。 それでも、海外も含め沢山の訪問者が引きもきらないのは、ここが奇跡のような特別な場所だからでしょう。では、そもそもその奇跡のような場所「豊島美術館」はどのようにできたのでしょうか? 海を望む小高い丘の中腹に位置する美術館敷地 敷地・建物・インテリアのデザインを担当した西沢立衛氏(1966-)のもとに依頼が来たのは着工よりだいぶ前、2004 年頃だそうです。しかもその時は豊島ではなく、同じ瀬戸内海の島、直島が候補地だったそうです。展示する作家や作品もまだ決定しておらず、ただ、 アート と 建築 と 自然 の一体化、というコンセプトだけははっきりしていました。 美しい棚田が広がる美術館周囲 ベネッセ側と話し合いを重ねる中でイメージする建物にふさわしい場所は、直島ではなく豊島だ、となりました。 その中でもここ、美しい棚田が広がる唐櫃に 等高線にそうような建物を作ろう、イメージは水滴、とほぼ決まった2007年、内藤氏に作品依頼がいきました。彼女はこの話を聞いた時とても驚いたとそうです。なぜなら、彼女がずっと追い求めテーマ、“地上に存在していることは、それ自体、祝福であるのか”に沿った企画だったから。 巨大な水滴、もしくは残雪にしか見えない美術館建物外観、部分 こうして コンセプトに共感共鳴し、互いにディスカッションを重ねて、ここでしか見られない特別なアートが生み出されていきました。 これら3つのうち一つが欠けても成立しませんでした。それにしてもこれら3つの要素 はずっと昔からここにあったかのよう...

【アート通信ー46:日本庭園の様式】

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46回目のアート通信は、 日本庭園の様式 についてです。 何気なく鑑賞している日本庭園は、実はいくつかの様式に分けられる事をご存知ですか? 例えば、 庭園として何を表現しているか? で分けると、 「平等院庭園」  京都の桜フリー写真 より 京都府「平等院 庭園」の ように、 想像上の景色、 極楽浄土を表現した 浄土式庭園。 こちらでは、 池と阿弥陀堂がセットになっている事が多いのが特徴です。武士が台頭して治安が乱れ、荒廃した雰囲気が高まった平安時代から始まった様式です。 池の中に鶴島、亀島が見られる「西明寺」 また、同じ 想像上の景色でも 滋賀県 「 西明寺」などに見られる、 蓬莱(ほうらい) 式 庭園 というものもあります。ここでは 不老不死の仙人が住む理想郷(蓬莱山)を表現しており、長寿の象徴、鶴・亀が登場してくるのが特徴です。 「水蓮寺成趣園」熊本国際観光コンベンション協会より 逆に 実際の景色を再現した 縮景(しゅっけい)式庭園 という様式もあります。 名称地、天橋立、松島、富士山などをモチーフとする事が多いのですが、熊本市「水前寺成趣(じょうじゅ)園」のように東海道五十三次の風景を模したものもあります。 次に、 何を用いて表現しているか? で分けると、 「龍安寺」 京都の桜フリー写真 より 京都府「竜安寺」 で有名な、 石・砂のみで水をも表現した 枯山水庭園 があります 。室町時代に始まり、禅寺に多く見受けられます。 東京都「小石川後楽園」 逆に水を用いて表現したのが 池泉(ちせん)庭園で す。池がメインで、元水戸徳川家の屋敷庭園「小石川後楽園」など、江戸時代の大名庭園はだいたいこのタイプです。更にこの 池泉庭園に築山、枯山水などがプラスされると 林泉庭園 となります 。 一方、 どのように 鑑賞するか? という分け方もあります。 室内から鑑賞するのは 鑑賞式庭園 、 庭園を歩きながら鑑賞する 回遊式庭園 、 池に浮かべた船から鑑賞する 周遊(しゅうゆう)式庭園 、といった具合です。 もうお気付きのように、日本庭園では1つの様式にしか当てはまらない、という亊はありません。ほとんどの場合はミックス様式で、名称は「 回遊式林泉庭園」の...

【アート通信ー31:愛知県犬山市「野外民族博物館リトルワールド」】

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31回目のアート通信は、愛知県犬山市にある「野外民族博物館リトルワールド」のご案内です。1983年に開館し、ドイツ・フランス・イタリアをはじめ、アフリカ、インド、韓国、ぺルーなど23か国から保存すべき建物がこちらに移築・復元されています。 北海道「アイヌの家」 展示には屋内と屋外があります。屋内(本館)では、テーマ別資料の展示やビデオ上映などが行われ、屋外では、32の建物が8ゾーンに分かれて建てられています。室内では生活の様子が再現され、パネルなどの説明もあります。 例えば、トルコ・イスタンブールではオスマン帝国時代に建設された「イスラム学院」が復元されており、内部では授業の様子が再現されています。 「イスラム学院」 要所要所にこのようなパネルがある またゾーンごとにその地域の食べ物を提供するフードコートや、民族衣装を試着できるコーナーもあり、その土地の料理を食べて気持ちを盛り上げ、建物内で衣装を付けて写真を撮る、なんていう楽しいお遊びも出来ちゃいます。 アフリカコーナーにある民族衣装の解説館。このような衣装を試着できる! アフリカのフードコートでは、ワニやラクダ、ダチョウ肉などからスウィーツまで楽しめる アフリカコーナーではトイレもカラフルで楽しい! そう聞くとテーマパークのようですが、ちゃんと研究され管理されているれっきとした博物館、普段なかなか行けない地域の建物を見たり、中に入ったりと楽しみながら学べるのはうれしいですね! こちらは、現地の人が来日して仕上げた壁絵が楽しい南アフリカの「ンデベレ族の家」。 アフリカゾーンの「ンデベレ族の家」 カラフルですねぇ~。そしてこの大胆な幾何学模様はすべて定規などは使わずフリーハンドで描かれています。特徴ある色や模様は、 ‘ここに住んでいる!’ という民族の主張でもあるそうです。 「ンデベレ族の家」内部 この模様からキース・へリング(1958-1990)の作品を思い出しました。もしかしたら沢山いた彼のアフリカ系友人に、ンデベレ族の人もいたのかも?? 敷地内は徒歩でも移動可能ですが、123万㎡の広さがありますので、一日乗り放題の周遊バスを利用すると楽です。「アフリカ~」「インド~」などのアナウンス...

【アート通信ー30:愛知県佐久島で「アートピクニック」】

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第30回目のアート通信は、自然とアートが融合する島として「アートピクニック」を推奨している愛知県西尾市の離島、 佐久島 のご案内です。 佐久島 佐久島は三河湾内に位置する1.81㎢の小さな島で、島全体が国定公園に含まれています。島へは西尾駅から出ているバスで港のある「さかな広場」まで移動し、そこで船に乗ります。乗船時間はたったの20分! この島では、高齢化と過疎の問題に対処する一つの方法として、2001年より「三河・佐久島アートプラン21」をスタートさせています。これは、自然や伝統とアートの出会いによって島の活性化を目指すもので、現在常設アートは島内22箇所。 「黒壁集落」 の道 島の西側には、建物を潮風から守るため為にコールタールで塗られた家々が立ち並び、島民やボランティアによって保存・維持されています。 島の西側から海を臨む そしてここを抜けると海岸が見えてきます。目に飛び込んでくるのは黒い建物、ポツンと佇んでいます。集落からはみ出してしまった家かと思いきや、違うんですね。 南川祐輝 氏の 「おひるねハウス」 には梯子を使って上る 南川祐輝氏の作品「おひるねハウス」です。個室のように区切られたスペースは全部で9つあり、梯子を使って自由に出入り出来ます。 内部より海を臨む 個室に入ると気持ちよく風が吹き抜け、空間のみならず景色も独り占め!おひりねハウスとはうまくネーミングしたものです。 中でゆったり寝られる こんな感じで自然を堪能しながら島を周り、アートを見つけ、中に入ったり登ったりと長閑な時間です。そして、島の北側にはこんな作品が! 森の中に現れる TAB の 「北のリボン」 TABによる「北のリボン」。森と海を繋ぐ位置に建つ滑り台のような作品で見晴台も兼ねています。 上まで登ると海が眼下飛び込んでくる 途中でおやつを食べたり、休憩しながら進んでいくと今度はこんな建物に出会いました。 よろずや 「つるや」 なんていうことない古い建物ですが、黄色にペイントされているのでそこだけぱっと目立ちます。ちょうどよい広さで、島のポケットパーク的な役割も果たしているようです。 ユニークと言えば、こちらのカフェがとてもユニー...