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【アート通信ー43:カサ・バトリョ】

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43回目のアート通信は、2005年にユネスコの世界遺産に登録されたスペイン・バルセロナの「カサ・バトリョ」の紹介です。 「カサ・バトリョ」正面 カサ=家、バトリョ=人の名前、なので「カサ・バトリョ」=「バトリョさんの家」という意味です。あの有名なアントニ・ガウディ氏(1852-1926)による建物で、旧市街の北側、グラシア通りにあります。 「カサ・バトリョ」の隣はジュセップ・プッチ氏による 「カサ・アマトリェール」正面 ちなみに、カサ・バトリョの隣の建物はガウディと同じカタルーニャ地方出身のジュセップ・プッチ氏(1867-1957)による「カサ・アマトリェール」で、ガウディは「カサ・バトリョ」を手掛ける際、既に建っていたこの隣りの建物のデザインをかなり意識していたそうです。 波打つ曲線をもたせた 「カサ・バトリョ」の 正面 繊維業で成功したジョゼップ・バトリョ氏は1903年にグラシア通りの1877年に建設された建物を買い取り、翌年ガウディに自宅兼賃貸住宅として建て直すように依頼しました。 当初のバトリョさんの依頼は建て直しでしたが、最終的にガウディは建て直しはせず、手を加えて変化をもたらすようにしました。まず一番目立つ外壁正面に波打つ曲線をもたせ、陶器のかけらや割れガラスの破片にオリジナルの円形タイルを組み合わせて装飾しました。今で言うリノベーション住宅ですね。 当時、事業で成功した者は競ってこの通りに目立つ自邸を建てていたので、バトリョさんもコンテストで優勝したばかりのガウディに期待を込めて依頼したのでしょう。 「カサ・バトリョ」の屋根裏部屋を作るアーチ 外壁だけでなく内部改装の他、最上階にカタルーニャの伝統的な邸宅に見られた屋根裏部屋を設け、屋根のデザインに変化ももたらしました。 屋根裏部屋で用いられているカテナリーアーチはガウディがよく使用した手法で、一本の鎖の両端を壁に留め、自然に垂らした形を逆さまにしたアーチの形でほっそりエレガントなラインも可能です。 「カサ・バトリョ」内部バルコニー 建物内も波打つ曲線が美しく、ここに一貫して流れるテーマは「海」です。作り付けの家具にも様々な工夫がなされ、ドアノブなど細かなところまでデザインが行き渡っていますが、これらすべてガ