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【アート通信ー36 :「国際子ども図書館」】

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36回目のアート通信は、東京・上野の「国際子ども図書館」です。正式名称を「国立国会図書館国際子ども図書館」と言います。 「国際子ども図書館」正面(通称、レンガ棟) 現役の図書館ですが、今回は図書館としての機能ではなく建物そのものの魅力をご案内します。 こちらの建物は、「帝国図書館」として、1906年に久留正道氏の設計で建てられたルネッサンス様式の建物です。1929年に増築され、よく見ると建物正面の右側と左側とでは作りが異なっています。その後は「国立国会図書館・分館」として使われていました。 建物内部には創建当時のままの箇所もあり、見所満載です。 レンガ棟にある「階段室」 例えば、正面入口入ってすぐ脇にある階段室は当時の面影を強く残した美しい空間です。手すりの模様や、階段裏のフローリングなど見所も多く、3階天井の照明器具はなんと明治時代から使われているものです。また、階段室と廊下を仕切る扉に書かれた文字にも注目です! 昔のままの表記「おす登(と)あく」が残る扉 ところで、こちらの建物は現在の「国際子ども図書館」という児童書専門の図書館にするにあたり、安藤忠雄氏らによる改修が行われています。 3階のラウンジスペース 改修の跡がよく分かるのは3階のラウンジスペース。左側のガラス壁が新たに作られた外壁で、右側の壁が元の外壁です。その元の外壁には窓などが残り、ここは新しさと古さが共存するちょっと面白い空間になっています。また、ここでは不定期ですが企画展なども開催されているんですよ。 3階の張出し窓から見える外壁装飾 また、3階ホールの張出し窓も忘れてはいけません。張出し窓全体がガラスで覆われ、外に出られるようになっています。そしてここでは、昭和初期に作られた外壁を間近に見たり、手で触ったり出来ます。 このような様々な工夫が施され、歴史ある美しい建物は2002年に「国際子ども図書館」として利用されるようになりました。 本を開く様子をイメージした通称、アーチ棟 更に、2015年にはレンガ棟の裏手に 書庫や研修の為に使用する アーチ棟が加えられ、アーチ棟とレンガ棟に囲まれた中庭スペースは、カフェも併設した 癒しの空間になっています。