【コルビジェジュ巡礼ー7:母の家】

正式名称はla Villa「 Le Lac」(湖の家)です。

コルビジェとジャン・ヌレの設計により1923年、コルビジェが36歳の時に引退した両親にプレゼントした家です。
スイス、レマン湖の畔にあります。
父親はこの家に住み始めてまもなく亡くなってしまったので、実質‘母の家’という事なのでしょう。
個人的にはとても親しみを持ちました。
なぜならその規模が小さく、自分の感覚で把握できるサイズだったからです。
長さ16メートル、幅4メートル、長方形の平屋です。

庭より家を見る。ガラスの窓の様な扉が玄関。
中に入ると廊下はなく、ゲストルーム、食堂兼サロン、寝室、バスルームとわずかな仕切りだけで繋がっています。(このうち、ゲストルームは開閉式の扉で完全に仕切れます。)
ゲストルーム。扉はすべて左側に収められる。


食堂・サロン


寝室
 
バスルーム
どの部屋も南に面し、一連の大きな窓で繋がっているのでとても明るく眺望も素晴らしいです。
しかも窓の高さが絶妙で、家の中から外を見ると敷地は見えず、まるで船に乗って航海している気分になります。


やはりある!屋上。


道路側より庭を見る。左奥の扉からはボート乗り場に直接出られる。
敢えて作った塀と窓。特等席。
庭から直接出られるボート乗り場。


庭に設置されている犬用の椅子。小窓から通りを行きかう人を見る事が出来る。

訪れた時は3月だったので緑も多くありませんでしたが、当時の写真を見るとうっそうと木々が生えているので、もっと緑に囲まれた家だった様です。

図々しい発想ですが、自分が住むなら自宅というより別荘かなと思いましたが、アルプスの山々やレマン湖を独り占めする眺望、庭からすぐボート乗り場に出られる解放感、とは言え、町から隔離されていないアクセス(駅まで徒歩20分)、細かいところまで気配りが行き届いた建物、「こんな家に住みたい!」と素直に思える家でした^^。

la Villa「 Le Lac」

コルビジェ巡礼はこれで終わります。
次回からは今回の旅で触れた素晴らしい建築・場所について触れていきたいと思います。

*‘コルビジェ’の表記について
彼の本名は:シャルル‐エドゥアード ジャンヌレ-グリ(Charles-Edouard Jeanneret-Gris)
ペンネームは:・コルビジェ(Le Corbusier)
ですが、一般に‘コルビジェ’で知られているので、一貫して‘コルビジェ’と表記いたしました。

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