Grasse (グラース)―Ⅲ

Grasse (グラース)―Ⅱの続きです。

その後はそのまま向かいの「L'Usine Historique(フラゴナール香水歴史工場)」へ。
もう香水に関しては「国際香水博物館」で勉強済みだったので、こちらではざっと見て、併設のブティックでお買い物。バラの香りのボディークリームを購入しました。

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フラゴナール社のボディークリーム

バラにも色々な種類があったのですが、比較的石鹸の香りに近い‘5月のバラ’というものにしました。甘すぎず、やさしい香りでこれをつけて寝ると良い夢が見られそうです。ところで、グラースを歩いているといたるところで‘Fragonard'の文字を目にします。18世紀の頃より裕福な家柄だったらしいのですが、香水業で莫大な財を成し、今もグラース町じゃなくて、フラゴナール町じゃない?と思う程その威力は偉大です。


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サプライズの試供品

買い物をした時に何かを袋に入れてくれた気がしたのですが、商品の案内かな?と思って気にしていませんでした。日本に帰って来て袋の中を見てみると、香水が染み込んだウエットティッシュ(上の写真)が4~5袋入っていました。そしてパックの外からも、良い香りが!日本人の様な気遣いの細やかさ!とちょっと感動しました。

そういえば、ブティックには大型バスで乗りつけたアメリカ人御一行様や、グループ参加で香りのレッスンを受けた後、買い物をしている方などがたくさんいらっしゃいました。

ビジネス展開も確かにお上手なのでしょうが、その蔭での小さな心使いの積み重ねも大きなビジネスに繋がるのかも、と感心してしまいました。

「L'Usine Historique(フラゴナール香水歴史工場)を出たら、目の前の道路、その名もB.d.Fragonardを左に、少し坂を下る様にして進むと、「Villa-Musée Fragonard(フラゴナール美術館)」に出ます。


途中の案内看板

こちらも是非訪れて欲しい美術館です。こちらでは、前述のフラゴナール家の一員であり、ロココ時代(18世紀)の代表画家であるJean-Honoré Fragonard(ジャン・オノレ・フラゴナール)の作品や、その息子や孫、義妹の作品を観る事が出来ます。特に階段室の壁に描かれている、息子Alexandre Evaristeのだまし絵には興味を惹かれます。


階段室の騙し絵

私がじっと観ていたら、係りの方が面白いでしょ?古い体制のシンボルとそれに反対するシンボルが一緒に描かれたりしているのよ。」と教えて下さり、説明の紙をくださいました。


その後は来た道を逆に辿れば、長距離バスターミナルに戻れるのですが、途中Rue Jean OssolaからRue Amiralに入り、Place aux Aires(オゼール広場)に寄って行くのがお薦めです

オゼール広場はこの町の中心で、昔はここを中心に運河が流れていたそうです


パトリック・ジュースキントの『香水』という小説はご存知でしょうか?何年か前に、映画も公開されましたね。この本では当時のグラースの様子が細かく描かれているのですが、今も変わっていない所が多く、町を歩いていると、‘ああ、この通りがあの場面の・・・’とか‘この広場が・・・’と、現地で再び小説の世界に入り込む事が出来るので、事前に読まれてから訪れると面白いと思います。




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