【アート通信-10:「ポーラ美術館」】



今回ご紹介するのは、2002年に開館した箱根のポーラ美術館です。
こちらは【アート通信ー7:銀座のリュクスなアートスポット】でご案内したPOLA MUSEUM ANNEXと同じ、株式会社ポーラの運営でオーナーのコレクションを基に丁寧な企画展と高いレベルの建築に注目が集まっています。

箱根という土地柄か公共交通機関でのアクセスの悪さが気になっていましたが、小田原駅から美術館までの直通バスが開通してとても便利になりました。

小田原駅から出ている直通バス

敷地は国立公園!

遊歩道のある森

ここの魅力はなんと言っても広大な敷地と豊かな自然です。(敷地は富士箱根伊豆国立公園内にある!)自然環境保護の為、極力手を加えず残した周囲の森には遊歩道が整備され、20分程で巡れます。途中に小さな彫刻も点在しており、ベンチに腰を掛けて木々のざわめきや鳥の声をに耳を傾けるのもいいでしょう。そして動植物の説明も随所にあり、足を止めながらプチ学習も出来ます。こんなサービスも!

蒼いボックスの扉を開けると中にバードウォッチング用の双眼鏡が入っている

*遊歩道は美術館利用を利用しない人にも開放されています。

森の中にひっそり隠れたガラスの玉手箱のような建物

森から美術館建物を見る

美術館の建物は周囲の環境に配慮し緑に埋もれる様に建てられているので、目を凝らさないと建物は認識出来ません。
そして環境への配慮は、遮熱の為の屋根の上に流れる水や、自然光を取り込むガラスなど建物にも及んでいます。
設計は当時日建設計にいらした安田幸一さんによるもので、銀座のPOLA MUSEUM ANNEXも彼が手掛けています。

屋根上に流れる水の波紋を通して光のカーテンが降り注ぐエレベーターホール

メインのスペースはすべて地下なので入り口を入ると、山を愛でながらエスカレーターで地下へと進む

作品に合わせた壁の色

「ルノワールと色彩の画家たち」展示風景

常設展の展示の方法も独特で、背面の壁はその作品に合わせた色にするなど日本では珍しい方法を採用しています。また撮影可(不可の作品もある)という点も、撮影禁止が多い日本では珍しいですね。

注目のコレクションは、クロード・モネ、ピエール・オーギュスト・ルノワール、パブロ・ピカソ、レオナール・フジタ、小林古径、岸田劉生、エミール・ガレ、ルネ・ラリックなど、西洋画から日本画、彫刻・工芸と幅広く、日本人に人気のある作家の作品が揃っています。

「ドーム兄弟の世界」展示風景
トルクメンの装身具

現在、2017年の3月3日まで企画展として「ルソー、フジタ、写真家アジェのパリ」が開催中で、同じ入館料で常設展の特集「ルノワールと色彩の画家たち」「明治から大正、昭和へ」「ドーム兄弟の世界」「シルクロードのよそおいートルクメンの装身具を中心に」を鑑賞出来ます。
週末には森の自然観察会や、企画展に合わせたコンサート、講演会、ワークショプなど様々なイベントが企画されていますので、鑑賞と合わせて参加されると充実した一日になるのではないでしょうか。

エスカレーターを降りて正面に位置する「カフェチューン」は鑑賞中の待ち合わせにぴったり

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