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【アート通信ー119 : 「ミッション ∞ インフィニティ| 宇宙 + 量子 + 芸術」展】

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 119回目のアート通信は、現在、 東京都現代美術館 にて開催中の 「ミッション ∞ インフィニティ| 宇宙 + 量子 + 芸術」 からです。 *全て許可を得て撮影しています。 永原康史「The Art of Entanglement」(2026) かつてアートは、絵画・彫刻・工芸、と分類していましたが、その枠に収まらないアートが出現してきたので、平面・立体、とざっくり分類するようになりました。 しかし近年は、それを超える 映像 や 光 を用いたアートも日常的に眼にする様になり、今回は、それらを宇宙+量子+芸術というサブタイトルで括っています。 アートは既に地球に収まりきらず宇宙に向かっている?そして量子とは?! 文部科学省「一家に1枚 量子と量子技術」 持ち帰り用のシートあり 量子とは : 物質は分子、さらにもっと小さい原子から出来ています。そしてその原子は原子核とその周りの電子から出来ており、その極小の世界では不思議な力学が生まれます。その不思議なエネルギーの最小単位を 量子と呼びます。 身近なところでは、 それは LED、医療用MRI、 量子コンピューター、暗号システムなどで利用されています。 もう付いていけない!と思う人も大丈夫。難しく考えず、まずは楽しむ事から始めましょう! 逢坂卓郎「生成と消滅 2025 」(2025) 例えば 逢坂卓郎氏のこちらの作品は、超新星の爆破で生じる、宇宙線が検出されると緑のLEDが消えます。そしてその後またゆっくりと灯ります。 緩やかな点滅を眺めていると、宇宙のどこかと、あるいは誰かと交信しているような不思議な気分になれます。 アンリアレイジ「ANREALAGE PLANET 2022-23AW COLLECTION『PLANET』」(2022) テクノロジーを駆使した洋服作りをするブランド、『ANREALAGE』の2022年秋冬コレクションのテーマは「PLANET」。 この映像は、JAXA 相模原キャンパスの「宇宙探査実験棟」で撮影され、パリコレクションのデジダルプラットフォームよりショーとして配信されました。 会場で鑑賞する10分間の映像はとても神秘的で美しく、自分も宇宙のどこかに居るような錯覚すら覚えます。 アンリアレイジ「ANREALAGE PLANET 2022-23AW COLLECTION『PLANET』...

【アート通信ー116:「今治市 岩田健 母と子のミュージアム」】

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 116回目のアート通信は、 瀬戸内海 に浮かぶ島、 大三島 にある小さな美術館「 今治市 岩田健 母と子のミュージアム」 からです。 円形の芝生に展示されている作品 「 今治市 岩田健 母と子のミュージアム」は、彫刻家  岩田健 氏 (1924-2016) の作品が展示されている半屋外の 彫刻美術館 で、2011年夏に開館しました。建築は世界的建築家の 伊東豊雄 氏 です。 直径30メートルにくり抜かれた の円形の芝生に44体の作品が並びます。屋根下のベンチから鑑賞するも良し、芝生内を散歩しながら、あるいは真ん中のベンチに座り見渡しながら鑑賞するも良しです。 空が大きく感じられる設計 見上げる 空も、屋根下から円形に切られた状態で見るのと、円形内の真ん中で見上げるのでは違って見えるのも興味深いところです。 岩田氏は、東京美術学校彫刻科(現東京芸大)に入学後、1944年に陸軍飛行学校に入隊しました。戦後復学し、 卒業後は公立校の教諭、慶應義塾幼稚舎工作科教諭をしながら彫刻制作を続けました。 岩田氏が書いた詩 特攻隊員でありながら生き延びた彼が制作する作品からは、優しさと平和への強い想いが感じられます。 ぐるっと大きく囲む壁には自身の詩などがさりげなく刷り込まれており、鑑賞の手助けになるでしょう。 「 今治市 岩田健 母と子のミュージアム」入り口 こちらの美術館は、廃校になった宗方小学校跡に建ち、「 今治市大三島美術館」の分館という位置付けになっています。 氏の慶應義塾幼稚舎時代の教え子である千住明氏( 作曲家)、 千住真理子氏(バイオリニスト) によるとオリジナル曲 「時の扉」 が、9時から17時までの各時間に2〜3分流れるので、時間を合わせての訪問がお勧めです 。 宿泊施設「大三島憩の家」 宗方小学校跡地には 「 今治市 岩田健 母と子のミュージアム」 の他、元校舎を利用した、宿泊施設「大三島憩の家」と、ワイン醸造場 「 株式会社大三島みんなのワイナリー 」 もあり、こちらは島で採れた葡萄から作るワインだけでなく、島で採れたみかんから作る果実酒も作っています。 みかんの木と「ところミュージアム大三島」の彫刻、瀬戸内海を望む 瀬戸内海には、アートに力を入れている島が多いです。ここ、大三島にも小さいながら個性的な美術館が複数あります。詳しくは、下記の...

【アート通信ー114:「モーリス・ユトリロ展」】

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 114回目のアート通信は、現在、新宿の SOMPO美術館 で開催中の 「モーリス・ユトリロ展」 からです。 「モーリス・ユトリロ展」ポスター ユトリロ (1883-1955) は フランス・パリのモンマルトル で婚外子として生まれ、フランスで制作を続けた画家です。実の父親が誰なのか母親は生涯明かしませんでした。 彼が絵を描く様になったのは、母親が画家だった事もありますが、なんと幼少期からアルコール依存症で、その治療の為です。 展覧会は、初期の「モンマニー時代」、困難な時代「白の時代」、そして晩年の「色彩の時代」、という3部で構成。では早速、代表作や注目点などをご案内していきましょう! Ⅰ「モンマニー時代」 《モンマニーの屋根》(1906-07年頃)  パリ・ポンピドゥセンター蔵 幼少期からのアルコール依存症が悪化し、18歳にで入院、治療を受けるようになります。こちらはその治療の一環で描いた作品で、見たままを素直に描いていますね。印象派の影響も少し感じられます。 モンマニーというのは、この頃、彼が母親と住んでいたパリの北側の小さな町の名前。 彼は美術教育を受けていませんが、画家の母親を大変尊敬しており、母への敬意を込めて、彼女の名前 Suzanne Valadon (シュザンヌ・ヴァラドン)の頭文字であるVを自分のサインの最後に入れています。これは生涯変わりませんでした。 Ⅱ「白の時代」 「白の時代」の展示風景 白い壁の建物を多く描いた白の時代には、同じテーマが繰り返されたり、真っ直ぐ進んだ道が行きどまりになりそうで急に曲がる、という構図の作品を多く描きました。 同じテーマや構図が繰り返されるのは、作品を制作する際に、絵葉書や写真を元に描き起こしていた為と考えられます。 アルコール依存症の治療が上手くいかず、精神状態が安定しなかった彼にとって、現場で描くより、家で落ち着いて描く方が、そして同じ構図やモチーフを繰り返し描き続ける方が安心出来たのでしょう。 《可愛い整体拝受者、トルシー=アン=ヴァロワの教会(エヌ県)》(1912年頃)八木ファインアート・コレクション蔵 繰り返されたテーマでは、まず、信仰心が強いユトリロは教会をよく描きました。 また、白へのこだわりは、絵の具に砂や鳥のフンを混ぜたり、卵黄を塗りつけるなど、さまざまな工夫から成り立っており、その辺り...

【アート通信ー113:特別展「江戸⭐︎大奥」】

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 113回目のアート通信は、現在、 東京国立博物館 平成館 にて開催中の 特別展「江戸⭐︎大奥」 からです。 会場入り口のポスター 大奥とは、江戸時代 (1603-1867) 、将軍の妻、側室、子供、そして彼女達に仕える女性達が暮らした城内の場所の事で、その成り立ちは1618年ぐらいからと言われています。そしてその面積は江戸城の約半分を占めていたと言うのですから相当な広さです。 〈NHKドラマ10「大奥」のセット〉 “御鈴廊下”の一部を再現展示 そしてここを出入り出来るのは将軍のみ。大奥に暮らす女性たちは一度入ると、日常的な出入りは許されません。 また大奥での出来事は決して口外してはならない、という厳しい掟がありましたので、大奥は常に秘密のベールに包まれていました。 錦絵シリーズ、揚州周延筆 「千代田の大奥」 (明治時代) の展示場所では、壁面に絵巻の一部が大写しで再現されており、華やか! それでは、展覧会の見どころをご案内していきましょう。 *写真は全て許可を得て撮影しております。 第1章「あこがれの大奥」 ここでは、その秘密のベールに包まれ、人々の想像を掻き立てた大奥の概要を紹介しています。〈NHKドラマ10「大奥」のセット〉や見事な錦絵〈 「千代田大奥」 の展示〉など、様々な角度からのアプローチ。 万亭応賀作、歌川国貞筆筆、「奥奉公出世双六」(江戸時代 19世紀) 東京都江戸東京博物館蔵 *展示期間:7/19-8/17 こちらは大奥の様々な仕事を辿って出世していく双六です。その名も 「奥奉公出世双六」 。文字 を書いたり文書の管理をする 〈御佑筆〉、子の世話をする者〈御守〉〈御乳〉などを通り、大奥で働く女性の最高位 、〈老女〉 などから上がりに近づけます。 一般の人達は想像の中で大奥勤めをし、出世を夢見、大奥での出来事に想像を膨らませたりしたのでしょうか。 第2章「大奥の誕生と構造」 「江戸城本丸大奥総地図」(江戸時代19世紀)東京国立博物館蔵 第1章で大奥の概要が分かったところで、今度は資料・作品から大奥の事実に迫ります。 江戸城は大きく分けて「表」「中奥」「大奥」の3つに分かれていました。「表」は政治を行うところ、「中奥」は将軍のプライベート空間、そして「大奥」です。 上の写真は、その大奥を図面で示したもの。黄色のスペースが正室達が暮らした場所で、...

【アート通信ー110:特別展「蔦屋重三郎」】

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 110回目のアート通信は、現在、 東京 国立博物館 平成館 にて開催中の 特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」 からです。 *写真は全て内覧会にて許可を得て撮影しております。 平成館内の「蔦屋重三郎」展ポスター 蔦屋重三郎(1750~1797) は、浮世絵師・喜多川 歌麿 や東洲斎 写楽 を見い出し、世に売り出した人です。彼は 吉原 生まれで吉原に熟知していたので、まずは吉原に関する出版に携わりました。当時ですから、出版は浮世絵とも大いに関係があり、結果として絵師を世に送り出す事に繋がったのです。 〈附章〉 展示風景 主催が東京国立博物館とNHKというだけあり、特に最後の 〈附章〉 では、現在放映中のNHK大河ドラマ「べらぼう」(主人公は蔦屋重三郎)のセットや、当時の様子を再現した町並みなどがあり、気分ははすっかり江戸時代! また、ここでは浮世絵の作り方の説明が映像でなされているのも嬉しいところ。 「蔦屋重三郎」展 入り口風景 では、早速見どころをご案内していきましょう! この門は、吉原の入り口にあたる 大門 で、NHK大河ドラマ「べらぼう」の美術チームの力作です。この大門をくぐり、吉原の世界へ入っていきます。 紅塵陌人 作 / 北尾重政 画『一目千本』(1774) 大阪大学附属図書館 忍頂寺文庫 蔵 こちらは蔦屋重三郎が初めて手がけた出版物、 『 一目千本』 です。流行の生け花に遊女をなぞらえて紹介する遊女評判記です。生け花に例えて、より想像力を掻き立てようという思惑でしょうか。 *会期中ページ替えがあります。 北尾重政・勝川春章 画『青楼美人合姿鏡』(1776) 東京国立博物館 蔵 こちらは、山崎金兵衛と蔦屋重三郎の共同で出版された、人気絵師2名により美しく描かれた、なんと164名の遊女とその名前が記された 『 青楼美人合姿鏡』 です。また、別ページには、その遊女たちが詠んだ句が載せられています。 私にはどの遊女も同じ顔に見えてしまうのですが、遊女の日常が垣間見られてとても美しいです。 *会期中ページ替えがあります。 〈第1章〉 展示風景 〈 第1章〉 は吉原の通りを再現した、こんな雰囲気のところで展示されています。 〈第2章〉 以降では、蔦屋重三郎の仕事を知るだけでなく、実は喜多川 歌麿 (1753?-1806)や東洲斎 写楽 (生没...