東京ステーションギャラリーにて「君が叫んだ・・・」を観て

東京ステーションギャラリーで開催されている、「君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ。パリ・リトグラフ工房idemからー現代アーティスト20人の叫びと囁き」を観て来ました。
長いタイトルです。
理由は今回の展示は、作家:原田マハさんの新作『ロマンシェ』と連動するもので、作中の人物のセリフをそのままタイトルにしたからだそうです。
実際に拝見すればなるほどと思えるのですが、やはり長すぎますね^^。
 
ピカソやマチスといった巨匠達の作品を産み出してきたリトグラフ工房idem(イデム)と、東京駅には100年を超す同じ歴史の重みがあり、その相性は良かったと思います。
特に2階の展示室は当時の煉瓦壁なのでタイムスリップした感じを味わえました。

展示室の煉瓦ではありませんが、同時代の階段室の煉瓦
個人的に印象に残った作品は、PruneNOURRY(プリュンヌ・ヌーリー)さんの「Terracotta Daughters(テラコッタの娘たち)」です。
中国での一人っ子政策の影響と思われる不自然な男女比と、西安での孤児女児との出会いから作品は生まれました。
テラコッタで出来た100体余りの女児像を"兵馬俑"で有名な西安の地に埋め、15年後の2030年に掘り起こす、という壮大なプロジェクトです。
今回の展示は、その象徴となる8体のテラコッタ像を写真に撮り、それをリトグラフにしたものです。
彼女が考えている事、感じた事がコンパクトながら強い力を持って伝わってきました。
リトグラフというソフトな媒体の力によって、現実が現実から遊離した<物語>の様になり、逆に不動の力になって迫ってきた感じです。

東京ステーションギャラリーは当時の面影を残している階段室はもちろん、かすかに感じる電車の振動から、流れゆく時間とその上に立つ自分を意識せずにはいられません。
階段室はいつ訪れても素敵
そして最後、ギャラリーを出て駅のコンコースを見下ろした時、雑踏の音と共に現実に引き戻される演出(?)も心憎いです。
ギャラリーを出ると一気に現実に引き戻されます
「君が叫んだ・・・」の展示は2月7日までです。


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