投稿

「日本、家の列島ーフランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザインー」」

イメージ
  パリ、ブリュッセル、アムステルダムを巡回してきた展覧会で、汐留ギャラリーで開催中の「日本、家の列島ー・・・」を観てきました。企画主催がフランス人写真家で、展示にはパネル、写真、模型に加え、ドキュメンタリータッチの映像が使用されていました。これは分かり易かったです。というか感じ易かったです。   ‘映像’は、現在において意図したものとのずれを最小限にとどめ、一目瞭然で理解させる為の最高の手法だと思います。もちろんそれは映像制作者の腕と感性によるところは大きいですが。 *建築も将来的には映像にとって代わられるとも言われていますね。   今回の展示のすべての住宅に共通していたのは、やはりという感じではありますが自然との関わりです。そして私が一番気になった住宅は、住宅と言うより建物のほとんどが窓となっている、吉村靖孝さんの「窓の家」(2013)でした。どうやって住みこなしたらいいのだろう?と戸惑いながらも、ここに住んだら自分の生き方考え方までもが変化していく、そんな不思議な力を感じたからです。   6月25日(日)まで。イベントも魅力的です。   「日本、家の列島ーフランス人建築家が驚くニッポンの住宅デザインー」

世田谷にひっそり佇む教会たち

イメージ
先日、縁あって世田谷の教会巡りをしました。 巡礼ではありません、 1930年~1960年代に建てられた特徴ある教会建築を見学する為です。あまり知られていませんが、それらは 住宅街の中にひっそりと点在していました。 例えば、1961年に竣工した 「東京聖十字教会」 は、 アントニン・レイモンド(1888-1976)の設計で蒲鉾 型の屋根が印象的です。 東急世田谷線の松陰神社前駅からすぐそばに建つ「東京聖十字教会」 屋根の端は地面すれすれ 京王井の頭線と小田急線が交差する下北沢駅の程近くに建つ 「東京聖三一教会」 は、竣工年は不明ですが資料によると1961年頃だそうです。 設計者は不明だが、デザインの特徴から前川國男かその流れをくむ者では?と言われている「東京聖三一教会」 青空にそびえる塔が美しい やはり下北沢駅近くに位置する 「富士見丘教会」 は加藤俊一の設計で1936年に竣工し、2003年には国の登録有形文化財に指定されました。今では考えられませんが‘富士見丘’という名前は当時ここから富士山が見えたことから付いた名前だそうです(!) 礼拝堂の天井を支える木組み構造が印象的な「富士見丘教会」 細部の装飾も手が込んでいる「富士見丘教会」 交通の利便性の良さからでしょうか、下北沢には この時代の教会建築が多く集まっています。 1962年頃竣工した 「頌栄教会」 も下北沢の駅そばです。 こちらの宣教の開始はなんとキリシタン禁令高札廃止の翌年(!)1874年です。牛込講義所が始まりだそうです。 モダンなつくり「頌栄教会」 「頌栄教会」のお向かいに位置するのは 「洗礼者聖ヨハネ教会」 、カトリック教会です。竣工年は1948年頃ですが、戦前フランスから輸入した建材を用いている為、実際より年代を経ているように感じられます。聖堂はロマネスク様式です。 ロマネスク様式の聖堂「洗礼者聖ヨハネ教会」 「洗礼者聖ヨハネ教会」の裏手には‘ルルドの泉’もある。 こちらの信徒会館は米軍の放出物資(!) 「洗礼者聖ヨハネ教会」のレトロなステンドグラス 教会建築の維持には、信徒さんの熱い想いと努力によるところが大きいと思います。下記のリンクから各教会の事をより詳しく知る事が出来ます。ご興...

【アート通信―16:「京都府庁旧本館」】

イメージ
京都に旅行に行って役所に足を運ぶ方は余りいらっしゃらないと思いますが、ここには是非立ち寄って欲しいです! "ここは日本か?ヨーロッパでは?"と錯覚をおこしてしまうほど素敵な空間が一般公開されています(しかも無料!) 修道院の回廊の様に美しい「旧議場」の外廊下の光 それは 京都府庁旧本館 です。明治37年(1904年)に竣工されました。新館があるので「旧」と付きますが現在も現役です!使用されている官公庁の建物としては日本最古のものだそうで、2004年に国の重要文化財に指定されました。 正門から望む「旧本館」はまるで洋館の様な趣 設計は主に京都で活躍した、松室重光(1873-1937)です。ルネサンス様式の建物で、見事な細部にも注目です 。 「旧本館」はロの字に建てられているので、廊下に面した全ての窓から中庭を望める 「旧知事室」 1905年から1971年まで24人の知事が使用した「旧知事室」には凝った装飾の暖炉もあり、天井は格式の高い<格天井>になっています。 美しすぎる「旧議場」 そして極め付けはここ!議会が開かれていた「旧議場」はサロンの様な美しさです。大きな吹き抜け空間では、窓から差し込んだ光が白い漆喰の壁に反射しシャンデリアの華やかさも加わるとまばゆい程です。半円形の階段状に設置された議員席はダイナミックな雰囲気を、2階の傍聴席前をかたどるアーチは教会の様な荘厳な雰囲気を醸し出しています。 こちらは2013年まで京都府の情報センターとして使われていましたが、様々な資料を基に2016年に明治期当初の姿に戻しました。赤い絨毯(朱色の方)はオリジナルです。*製造する機械が存在せず、この絨毯が駄目になったらもう再現は不可能だそうです。 こちらでは見学が出来るだけではなく<土曜講座>というものが開かれています。申し込めば誰でも参加出来るので(*定員あり)、お近くの方は問い合わせてみたらいかがでしょう。 この「中庭」の景色はまるでヨーロッパの修道院中庭の様 現役で使用されている建物なので、廊下などでは職員の方とすれ違います。そんな時、自分が今どの時代に居るのか一瞬分からなくなり不思議な感覚に陥ります。ここの素晴らしいところは、再生して保存・公開しているだけではなく、撮...

京都でポルトガル?ポルトガル菓子店「カステラド パウロ」

イメージ
  ポルトガルの絵タイル‘アズレージョ’を使用した看板  先日京都に行った際、「3種類のパォンデローと日本のカステラの盛り合わせ」と「ポートワイン」の組み合わせを頂きたくて ポルトガル菓子&カフェ「カステラ ド パウロ」 に立ち寄りました。 こんな事が出来るのはポルトガルではもちろん日本でもここだけですし、大のカステラ好きの私にはたまらない組み合わせなんです! *「パォンデロー」は、「カステラ」の原型と言われているお菓子です。 ‘ポルトガルの3地方のパォンデロー’と、日本の‘カステラ’ 午前中早々に着いたので、私が一番かしら?と思いましたが、甘かったです。 お菓子の袋を大事に抱えて出て来たお坊さん、スクーターで颯爽と帰って行かれました(!) さすが京都! 100年前の酒蔵 お店は京都上京区の学問の神様としても人気が高い 北野天満宮のお隣 にあり、建物は100年前の酒蔵を使用しています。 詳細は 食の異文化体験!京都ポルトガル菓子店「カステラ  ド パウロ」 をご覧ください。

「メットガラ」

イメージ
公開中の映画「メットガラ」を見て来ました。 「メットガラ」フライヤーより 「メットガラ」とは、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催される服飾部門の企画展オープニングイベントの事です。 世界中から著名人が集まるこのイベントは、美術館の活動資金を集める為に開催され、20年間で12.500万ドル集めたというのですから凄い話です ! この映画は2015年のメトロポリタン美術館の企画展『鏡の中の中国』とそのオープニングイベント(メットガラ)の準備から開催当日までをドキュメンタリータッチで描いています。 分野がファッションという事もあり、視覚的に華やかな場面が 多いですが、なんと言ってもメットガラの主催者、アナ・ウィンターのセンスと判断力の速さ、そして行動力が際立っています。 批判も多いでしょうが、その思い切りの良さがメットガラを成功に導いているのは間違いないでしょう。 それにしても、ニューヨークの人はなぜ皆(皆は言い過ぎかもしれませんが・・・)スタバのLサイズを持ち歩くのでしょうか? この映画でもアナが打ち合わせ中も、車に乗る時も片手にはスタバのLサイズ、このこだわりだけは理解出来ません^^;

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」

イメージ
第5回目となる 「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」 (2017年4月15日-5月14日)に行って来ました。印象に残った事をいくつかピックアップしたいと思います。 会期中はメインスポンサーのBMWの自転車を借りて会場を周る事も出来る! このフォト・フェスティバルの大きな特徴は、歴史的建造物が多く残る街で開催される事だと思います。普段は非公開の歴史的建造物が会場として使われるので写真好きの人はもちろん、建築好きの人も楽しめるのではないかと思います。 普段は非公開の 両足院 (建仁寺内)での 荒木経惟 氏の作品展示   また、古い建物と写真のマッチングも見所です。海外ではよく現代美術展示を歴史的建造物で行ったりしますが、日本ではまだ少ない気がします。 普段は非公開の 誉田屋源兵衛 黒蔵 の2階での イザベル・ムニョス の映像作品「Love&Ecstasy」は窓にも映り込みもう一つの世界を展開 歴史的建造物という重みのある空間で、写真という比較的おとなしいアートを見せるには、その見せ方に工夫が必要だと思います。 誉田屋源兵衛 竹院の間 のメープルソープの作品展示では、 空間デザイナーの おおうちおさむ 氏の腕が光っていました。 誉田屋源兵衛 竹院の間と同じ、 おおうちおさむ 氏が会場構成をした普段は非公開の 二条城 二の丸御台所 は、動線計画も良くストレスフリーで周れる    京都文化博物館別館(元日本銀行京都支店) での ラファエル・ダラポルタ 氏の映像作品(36.000年前のショーヴェ洞窟壁画)は、迫力、展示の仕方、共に素晴らしい また、和紙にプリントした作品や軸装の作品も多く見受けられました。良い表具師がいる京都ならではでしょうか。 ターミナルキョウト での 鈴鹿芳康 氏の「祈りの形」、表具は 井上雅博 氏 *KYOTOGRAPHIEの連携アートフェスティバル KG+ の作品 「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」

【アート通信ー15:「ワタリウム美術館」】

イメージ
今回は、アート通信ー15として渋谷の通称:青山 キラー通りに面した 私設美術館「ワタリウム美術館」をご紹介します。 2013年に開催されたフランス人アーティスト、ジェイアール(1983~)の個展「JR Couid art change the worid?」の作品が残る建物外観 1990年より意欲的に国際レベルの現代美術をいち早く紹介し続けている美術館で、企画展の切り口の斬新さや考察の深さには定評があります。 三角形の敷地に建つ個性的な建物はスイスの建築家マリオ・ボッタのよるもの この美術館の特徴は、私設美術館の利点を生かしたどちらかと言えばマニアックな企画展と「庭園倶楽部」などの独自の文化活動、そしてなんといっても美術館としては決して広くない敷地をうまく使いこなしている、スイスの建築家マリオ・ボッタ(1943年~)による建物にあります。マリオ・ボッタの作品が観られるのは日本ではここだけです。吹き抜け空間や外階段などを巧みに利用して、迷路の様なユニークな展示スペースは一見の価値があります。 外階段から望む街の眺望は、普段目にしない角度からなので新鮮!  5階建ての2階から4階が展示スペースで、一部は外階段での移動が可能です。地下には珍しいアート本・アートグッズを扱うミュージアムショプ&カフェがあります。 地下にあるミュージアムショップ。企画展に合わせた選定の他、限定本に出会える事もある。 カフェスペースでは、ブックスペースを見下ろしながらゆっくりお茶が出来るので、1人で過ごすのもいい。   お向かいの建物に残っている壁画は美術館の外階段からも確認出来る。 そして 美術館向かいの建物には、以前描いてもらったキース・へリング(1958-1990)による壁画(ジェイアールの作品もプラスされている)が残っているのでお見逃しなく! 入場券には、一度購入すると会期中何回でも使えるシステムもあるので、近くをよく通る人は時間が空いた時の気分転換に利用するのもいいですね。 *ワタリウムという名前の由来は館長の名字:和多利からきています。 おまけの情報です 道路を挟んで「塔の家」を観る 美術館の前の通りを千駄ヶ谷方面に少し進んだ所に、「塔の家」と呼ばれる6坪弱の敷地に建つ一戸建...