【アート通信ー51:オラファー・エリアソン】
第51回目のアート通信は、デンマーク出身で現在はベルリン在住のアーティスト、オラファー・エリアソン(1967-)の紹介です。
オラファー・エリアソン氏は、デンマークのコペンハーゲンで生まれ、アイスランドとデンマークを行ったりする環境で育ちました。特にアイスランドでの生活経験は、その後の彼の制作活動に多くな影響を及ぼしています。
では早速、作品を観ていきましょう!
「カラー・アクティヴィティ・ハウス」(2010) |
「カラー・アクティヴィティ・ハウス」(2010) |
例えば、金沢21世紀美術館の敷地に設置されている「カラー・アクティヴィティ・ハウス」は、3原色で構成された渦巻き状の立体に入ったり出たりする事が出来る作品です。そしてその色の効果で、先程まで見ていた景色は一瞬で全く別の世界へ変貌していきます。
「Weather the Weather」(2016) |
「Weather the Weather」(2016) |
デンマークのオードーロップゴー美術館の敷地に設置されている「Weather the Weather」は、景色が切り取った様に見えるリング型の作品なのですが、しばらくすると、ふわ〜と水蒸気が出て来て一瞬で辺りの景色を変えてしまいます。そしてその後、何事も無かったように元の姿に戻るのです。
立体作品ばかりではありません。「あなたの移ろう氷河の形態学」というこちらの平面作品は普通の水彩画に見えますが、なんとグリーンランドの氷河の氷が溶けるのを利用しています。
これらの作品からも分かる様に、彼は自然現象や建築的空間を意識しながら、観る者の視覚認識を揺らがす作品を多く発表しています。
これらの作品からも分かる様に、彼は自然現象や建築的空間を意識しながら、観る者の視覚認識を揺らがす作品を多く発表しています。
そして、氷、光、色など、自然に対する彼の敏感で開かれた感覚は、アイスランドでの生活体験によるところが大きいようです。
「太陽の中心への探査」(2017)「東京都現代美術館」にて展示中 |
また、持続可能な世界への挑戦を作品で示し続けているアーティストとしても知られています。持続可能、と言うと堅苦しいイメージがありますが、こんな美しい作品も!ガラスの多面体がゆっくり動き、それに伴い、床、壁、天井を覆い尽くす映像も動いていく幻想的な空間の作品ですが、こちらではソーラーエネルギーが使われているんです。
「東京都現代美術館」では、現在「オラファー・エリアソンときに川は橋となる」が開催中。上記作品以外にも、
・「クリティカゾーンの記憶」(2020)
・「サンライト・グラフィティ」(2012)
・「あなたに今起きていること、起きたこと、これから起きること、」(2020)
など、計17点が展示されています。
「クリティカゾーンの記憶」(2020)環境保護を意識して作品輸送に鉄道と船を利用した痕跡の作品 |