【アート通信ー11「レロ・エ・イルマオン」がなぜ入場料を取るようになったか】


書店の2階

イギリスの新聞における‘世界で最も美しい書店ベスト10’で3位に選ばれた、ポルトガルのポルトにある本屋さん「レロ・エ・イルマオン(Libraria Lello&Irmão)」は入場料を取る珍しい本屋さんです。

なぜ入場料を取るようになったかと言うと、素敵な内装に魅せられて入店する人が多く、入店すると皆写真を撮りたがりました。しかし、‘本屋は本屋であるべき!’という強い意志を持つ先代オーナーは決して写真撮影を許しませんでした。魅力的な建物ですが大型書店というわけでもなし、若者の本離れもあいまって売上は落ちていくばかり、ついには閉店の危機となりました。

そんな中、世代交代した現オーナーは時代に合った営業方法を考案しました。それが入場料システムです。
‘入場料として3ユーロ払って下さい。その代り写真撮影は自由です。そして本を購入したら、入場チケットは3ユーロの金券として使えます。’と言うものです。
これが大当たり!

2階より1階を見下ろす。上段のガラスケースの中の書物は開店当初よりある貴重なもの

毎日大勢の人が訪れ、入場料という確実な収入を得る事が出来るようになりました。そればかりかアップされた写真を観てまた別の人が訪れる、という二重の効果が!
更にせっかく訪れたのだから、とほとんどの人が本も購入するといううれしいおまけも!これにより経営は安定し、この素晴らしい建物を継続して使用出来るようにもなりました。

2階の分野別に収められている書棚

時代に合わせたやり方で生き残れる、生き残れるどころか更なる飛躍が出来るという事をこの本屋は証明してくれています。

建物の詳しい紹介は次回いたします!


このブログの人気の投稿

【建築巡礼ー5:アールトによるルイ・カレ邸】

【アート通信ー25:ベルリン・集合住宅「ジードルング・ブリッツ」】

【建築巡礼ー9 : ル・トロネ修道院 abbaye du Thoronet】