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【アート通信ー21:「MIHO MUSEUM」】

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今回は 1997年に開館した、 滋賀県の「MIHO MUSEUM」のご紹介です。 自然光が差し込む美術館ホール 建物はパリのルーブル美術館のピラミッドでも有名な I.M.ぺイ氏(1917-)の設計 で、全体の 80%は 環境保護の為、地中に埋められています。その為、ここでは自然を感じ、その恵を受け取る事も大事なテーマとなっています。 山の中にひっそり佇んでいる 最寄り駅は、京都駅よりJR琵琶湖線で15分の石山駅。ここからバスで走る事50分!まさに秘境の地と言った感じです。 レセプション棟 バスはまずレセプション棟に着きます。レセプション棟にはチケット売り場の他、ミュージアムショップやレストランがあります。実はこちらのレストランで使用している食材はすべて無農薬です。その為か、頂いた後にいいものを体に入れたな、と感じられます。 古代小麦のパスタ それではさっそく美術館棟へご案内しましょう! エントランス棟と美術館棟は山で隔たれている 美術館棟へはトンネルを通って行きます。 トンネル内の柔らかな光は春は桜色、初夏は萌黄色、秋には茜色と季節によって変わります。 小さな電気バスも運行されているので歩行が厳しい方も安心です。 やわらかな光で照らされたトンネル 自然保護の為に作られたトンネルですが、静かなトンネル内の移動は、現実の世界から研ぎ澄まされた清らかな世界への橋渡しの役割もしています。この レセプション棟からトンネル・橋を経て美術館に至る構想は、「桃源郷」から得られているそうです。 山の中に佇む建物の階段を登ると入口 トンネルを抜け橋を渡ると見えてくるのがこちらの 美術館棟。母体が宗教法人秀明会だからでしょうか、 まるで神社のような構えです。 創立者、小山美秀子氏(1910-2003)の『美術を通して、世の中を美しく、平和に、楽しいものに』という想いから始まったそうですよ。 主なコレクションは、日本、アジア、エジプト、ローマなどの古代美術です。そして特筆すべきは、個人の感性で選ばれているので時代・国が違っても全体として統一感がとれている事、そしてそのコレクションのレベルが高い事です。 京都まで行かれた際に、

「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」を観て

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先日、見逃してはいけないと「ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ」を Bunkamura ル・シネマで観て来ました。 アイリーン・グレイ(1878-1976)は、アイルランドの貴族の家に生まれた家具デザイナーで、自由で斬新なデザインは同時代の建築家などに驚きの目で迎えられました。しかしまだ<女>という枠が付いてしまう時代、悔しい思いも多々あったようです。 この映画では、女としての彼女を描きたかったのか、デザイナーとしての彼女を描きたかったのか、ル・コルビュジエのもう1つの顔を描きたかったのか、いまひとつはっきりしなかったように思います。あるいは、原題「 THE PRICE OF DESIRE」 からするとそれらすべてなのかもしれません。 彼女は建築にも興味を持ち「 E.1027 」と名付けた個人邸も建てます。追憶のヴィラとはまさに 「 E.1027 」の事です。 家にアルファベットと数字で名前を付 けるなんて、なんてお洒落なんでしょう! 撮影もここで行われたので、 内部をもっとよく見せてもらえたら更に良かったです。 会場では彼女の作品「ベビンダムチェア」に座れる 渋谷Bunkamura  ル・シネマでは、 12 月 8 日(金)まで上映しています。 「ル・コルビュジェとアイリーン 追憶のヴィラ」

【アート通信ー20:「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪2017」】

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10月28日(土)29日(日)に大阪で開催された「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪」に行って来たので、今回はそのご報告をしたいと思います。 設計:村野藤吾 /  竣工:1964年 / 「浪花組本社ビル」外観 「生きた建築ミュージアム フェスティバル大阪」とは、 2013年に大阪で試みとしてスタートして以来、今回が5回目になるイベントです。ここでは 都市の営みの証として変化・発展しつつ、魅力を発揮し続ける建築を「生きた建築」と定義しています。そして2日間、建物内部の特別公開や、オーナーによる解説が行われます。まちを1つの大きな美術館と捉えているのでこの名称となったのでしょう。そしてこれらは 全て所有者・関係者の好意で成り立っています。 設定:安井武雄 / 竣工:1924年 /「大阪倶楽部」内部 無料公開された建物は公式ガイドブックに載っているだけでも78棟!更に今年は御堂筋が完成して80周年なので、御堂筋沿いではライティングデザイナー長町志穂氏による建物のライトアップも!観光や日常生活では見落としがちな切り口で街を観られる良い機会でした。 長町志穂氏による 御堂ビルのライトアップ 見学した沢山の建物から3か所を、ストーリーと共にご紹介します。 1、 「船場ビル」 登録有形文化財 住所:中央区淡路町2-5-8 竣工:1925年 設計:村上徹一 一見、普通のオフィスビル 1925年の竣工当初も、オフィスと住宅をあわせもつユニークで革新的なビルとして注目を集めたそうです。また、船場という土地柄トラックや荷馬車を引き込める機能も備わっていました。 現在もほぼ竣工時の姿のままオフィスビルとして活用されています。 通りに面した入口から入るとこんな感じ。トラックや荷馬車が直接入って来られたのが分かる。 〈ストーリー〉 最近は、フランスのアパルトマンみたいでお洒落!と評判を呼び入居待ちになる程の人気ビルですが、20年程前は空室が目立ち、ゆくゆくは取り壊される運命と思われていました。ところが、当時4階に入居していた環境デザイナー二見恵美子氏の働きかけによりそれは変わります。テント・ドア・看板などの統一、植栽やベンチの配置、屋上緑化が行われ、モダンでお洒落な人気ビルへと変貌を遂げました。 ド

【アート通信-19:「新国立美術館」】

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アート通信-19は、東京・六本木にある 「新国立美術館」 です。 行かれた方も多いと思いますが、ここでは特に建物の事、施設の事を中心にご案内します。 美術館内部の吹き抜けスペース 黒川紀章 氏(1934 - 2007)の独創的なデザインで知られる「国立新美術館」は、"美術館"というワードが入りながら独自の コレクションは持たない美術館 です。2007年に開館しました。  乃木坂駅からはデッキを辿ればすぐ このコレクションを持たない美術館の建設理由は、開かれた美術館として「公募展」を開催してきた上野の「東京都美術館」が手狭になり、新たな場所が必要になった為、また教育・普及の新たな拠点も必要、と判断された為です。更に発案当初は、独自の企画は行わず企画展をまるごと(パッケージ)借りてくるだけの予定でした。従って学芸員はいらない、と判断されていたそうです。しかし、パッケージものでも美術品を借りる際に学芸員は必要、また独自の展覧会も開催すべき、との指摘から学芸員が常駐するようになりました。 最寄駅は地下鉄・ 六本木駅 または 乃木坂駅 で、特に千代田線の乃木坂駅は美術館に直結しているのでとても便利です。 乃木坂駅6番出口からは案内に従って 美術館の入口を入ると大きく広がる吹き抜けスペース!波打つガラス張りの外壁から明るい光が差し込んで来ます。 いつの間にか増えていったカフェテーブル 開館当初は何も置かれていなかったこのスペースに、最近は カフェ「コキーユ」 のみならず、ショップまで設置され少しごちゃごちゃしています。黒川氏はここには何も置かない事を強く望んでいたそうなので、彼がこの状態を目にしたら何と言うでしょう? いつの間にか常設になってしまったショップ 天気が良い日は、ここからテラスに出るのがお奨めです!木製デッキのテラスには緑が溢れ、東京真ん中とは思えない季節の移ろいが感じられます。 デッキではカフェで購入したものを食べたり寛いだり テラスから良く見えるガラス壁、外側に付いている日除けの張り出しの水玉模様には紫外線カットの働きがあるそうですよ! 良くみると見える白い丸い模様 地下には ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー 」と

アントルメグラッセなら「グラッシェル」!パフェも!

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アントルメグラッセと は、 アントルメ=ケーキ、グ ラス=アイス、でアイスケーキの事です。 表参道の「 GLACIEL(グラッシェル) 」は日本ではまだ数少ないアントルメグラッセ=アイスケーキの専門店です。 通りから見たお店の外観 お店にはアントルメグラッセ(アイスケーキ)だけでなく、グラス(アイス)、ソルベ(シャーベット)や、オリジナルパフェも揃っていて美味しいです。 先日縁あってこちらの「2017年クリスマス商品のご紹介」に伺ったので、発売前に教えて頂いたとっておき情報をご紹介します。クリスマス用だけでなく、秋の新商品もありますよ! 今年のクリスマスの目玉は〈 クーロンヌ ド "グラッシェル" 〉・・・王冠やリースをイメージしています。 〈クーロンヌ ド "グラッシェル"〉 土台はクッキー入りバニラアイスを合わせたタルト生地。真ん中で可愛くこんもりしているのはクリームチーズのアイス。そしてぐるっと周りを囲っているのはベリー感たっぷりのマスカルポーネのアイスとソルベ!隠し味に仕込んである苺とフランボワーズのコンフィチュールも効いています。年齢問わず好かれるお味です。 クリスマス商品の2点目は、〈 レーヌ ド シャンパーニュ 〉・・・王妃をイメージして華やかで上品。 〈レーヌ ド シャンパーニュ〉 トップに、ボリュームをもたせながら可愛く絞られているのは何とピンクシャンパーニュのソルベ!贅沢なビスキュイジョコンド生地の中には、さっぱりしたバニラアイスがたっぷり。このバニラアイスがなぜこんなに爽やかなのかと言うと、白い卵黄を使用しているからだそう。こちらでも隠し味が力を発揮しています。フランボワーズと薔薇のコンフィチュールです。この優雅で贅沢な薔薇感を好まない女子はいないでしょう。 3点目は人気の定番商品のアレンジ< ノエルクリソン >・・・ハリネズミがサンタの帽子を被っていて可愛い。 <ノエルクリソン> 中身はマロン尽くし!カシスの隠し味も効いています。表面はおいしいチョコレートアイスで栗のイメージを壊さない様に絞り上げています。 上記3点のカット、手前から〈クーロンヌ ド "グラッシェル"〉・<ノエルクリソ

【アート通信ー18:「セウラサーリ野外博物館」】

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アート通信18は、ちょっと遠いですがヘルシンキ郊外の野外博物館、「セウラサーリ野外博物館」です。 セウラサーリはヘルシンキの西側にある小さな島で、島全体が国立公園になっています。そしてここには、フィンランド各地から移築された18世紀~19世紀の保存すべき建築が自然の中に点在しています。それが野外博物館「セウラサーリ野外博物館」です。 島の自然はうっとりする程美しい 森の中で散歩しながら様々なタイプの家や教会、粉ひきの風車小屋などに出会えます。 ここで最も古い建物、旧カルナ教会 教会内部 内部も当時のままの状態で保たれており、スタッフの服装も当時のものなので専門知識が無くても違和感無くその世界に入り込んでいけます。スタッフは質問されない限り、編み物など当時そこでしてたであろう行動をしています。 スタッフの服装も当時のままで、建物がより生き生き感じられる農家が所有していた19世紀の家。 食事に使われていた桶が奥に見える室内 もちろん、詳しく知りたい人はパンフレットの解説を読めばより深く理解出来ます。なかにはこんな建物も! 大きさは百葉箱をちょっと大きくしたぐらいです。これは食料を保管しておく為の小屋!熊など野獣の手が届かない微妙な高さに設置されています。 森から出てきたリス そしてもう一つの特徴は、ここが小動物も戯れる素晴らしい自然の中という事です。 運が良ければ森から出て来たリスに出会えますし、水辺には白鳥の親子も泳いでいます。そのせいか 訪れる人も小さい子を連れたファミリーやカップルが多く、学ぶというより休日を共にゆっくり過ごす場所という感じでした。 似たような施設は、お隣のスウェ―デンやノルウェーにもあります。日本にも歴史的建造物の移築・展示をしている「江戸東京たてもの園」がありますが、スタッフの服装や作業から、当時の生活を容易に想像出来るここの環境は素晴らしいと思いました。 空調の効いた室内で鑑賞するのではなく、特に小さい子にとっては、自然の中で動きながら見て、触って、聞いて、様々な事を自然に身に付けていけるここの環境はとてもいいと思いました。<建物とは><生活とは>という観念は、もしかしたら幼い頃に身につくものなのかもしれません。 セ