【建築巡礼ー4:ロレックス・ラーニングセンター】

*【建築巡礼ー4】からは建築家の名前ではなく、場所、もしくは建物の名前での括りとなります。

ロレックス・ラーニングセンター(Rolex Learning Centre)
SANAA*の設計でローザンヌに2010年に建設されました。

*SANAA:妹島和世と西沢立衛による建築家ユニット
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の図書館などを備えた交流・学習センターです。
ロレックスとのパートナーシップや多額の寄付金から建設された為、ロレックスの名前が付いています。
スイス連邦工科大学ローザンヌ校の敷地図、ラーニングセンターは赤い部分
センターには図書館の他、多目的ホール、カフェ、レストランなどあり、学科ごとに散らばっている学生達が一カ所に集まり、研究したり交流したり出来るようになっています。
学生や研究者のみならず、地域の人々にも開放されているそうです。
橋のような建物をくぐり、
床下を通り エントランスに向かいます。
ラーニングセンターの見取り図。濃いグレーの円形の部分は中庭・光庭としてくり抜かれている
のセンターの建物の特徴はなんと言っても全体が巨大なワンルーム(166.5m×121.5m)になっているという事です。
オープンスペースのカフェ
壁という仕切りはありませんが、床にアップダウンをつけたり中庭や光庭として14カ所をくり抜き、それぞれのスペースを作り出しています。
多目的ホールも床の傾斜でスペースを確保。仕切りは無い
 
床の勾配と中庭で区切られた空間
床が平らでなく、中庭・光庭のガラス壁がすべて曲線だからでしょうか、建物全体の形は四角なのに、不思議と丸みのみを感じます。
地球儀の様(?)、なだらかなカーブを描く床
平坦であるはずの床に起伏をつけると性格の異なるスペースを設けられるだけではなく、ちょっと大げさですがそこは屋外の様です。
傾斜を登る時はトレッキングで、降りるときは散歩、また傾斜地に腰を下ろすと丘で寛いでいる感じです。
そして屋内にいてもまるで屋外にいる様な感覚を得られるのは、室内で作業する閉塞感を軽減させたり、出会いの機会を増やす役割も果たしているのかもしれません。
勾配のきついところは、軽い山登り状態
それぞれお気に入りの場所がある様子
また、丘を(傾斜を)登りきると急に視界が開け、下のスペースを気持ち良く見渡せます。
屋外ではよくある景色ですが、屋内のものとしてはとても新鮮でした。
そして一度に全体が目に入るという事は、様々な文化が混在する多国籍間では安心感にも繋がると感じました。
一度に全体を見渡せるので、隠された部分の無い安心感がある
図書館スペースもオープンスペースだが、グループでディスカッションしながら準備するブースや、個室ブースもある
広い中庭ではイベントも開催される

2011年に東京都現代美術館で開催された、「建築、アートがつくりだす新しい環境ーこれからの‘感じ’」展でこのセンターを知ってからいつか自分の目で見てみたいと思っていました。
模型や映像では、もっと軽くて軟らかい素材のイメージがありましたが、これだけ大きな物体を持ち上げたり降ろしたりするのですからそんな訳はないですね、かなりがっしりしていました。
 
日曜日に少し見学しただけなので私の感じ方は正確ではないかもしれませんが、竣工してまだ日が浅いからか利用者達は楽しそうですがまだこの未来的な建物を自分のものにしていない様に感じました。
これから徐々に自分達の色に染めていくのだと思います。
今度は是非、そうしたいい意味での手垢が沢山付いた状態を見てみたいです。
時計はやはりロレックス。裏側にも時計が付いていて、計7か国の時間を把握出来る

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