【建築巡礼ー2:ザハ・ハディッドの建築】

ザハ・ハディッド(Zaha Hadid 1950-2016)、日本では彼女のデザインが新国立競技場で採用される、されないですっかり有名になってしまいました。
今回の旅では彼女がデザインして建てた建物を2つ観て来ました。
実際に観る事が出来て良かったと思いながら帰国して間もなく彼女の訃報が入りました。
とても残念です。

① 消防署Vitra Fire Station(1990-1993)
 
スイス、フランスとの国境側、ドイツのヴァイル・アム・ライン(Weil am Rhein)という町にあります。
建設された建物としてのザハさんのデビュー作で、Vitra Campus*の中にあります。

構内消防署として作られましたが、現在はイベントスペースとなっています。
おもしろい建物です。
平行しているところがありません。
壁は斜めです。
屋根も斜めです
内部の部屋は遠近法を強調する様に奥に行くにしたがってサイズが小さくなっています
斜めです
ガイドさんの話だと、消防士の感覚を鍛える為にいたる所が斜めにデザインされているそうで、シャワー室の壁も斜めです。
シャワー中も片足で立ってバランスを取るなど、どんな場所でも平衡感覚を鍛えられる様に敢えてこの様にしたそうです。
やさしさというのでしょうか・・・。
各部屋を見ているうちに私は目が回りそうになり、気持ち悪くなりましたが発想は面白いと思いました。

*Vitra Campus (1980-):家具メーカVitra社の自社施設。将来有望と思われる建築家にそれぞれの施設を少しずつ依頼し、施設として使用。そして携わったすべての建築家が今や世界的建築家となっている。

② 環境センターTrinational Environmental Center(1996-1999)

こちらの建物もヴァイル・アム・ラインにあります。
中には入らず外からのみの見学でした。
1999年に開催されたガーデンショー『グリーン99』の為にデザインされ、その後「環境センター」として利用されています。
120mにも及ぶ長い建物で、この道から生えたような細い雨どいみたいなのも、建物の一部です。
右側のスロープを歩いて行くと2階を後ろから覗き見られます。
どこが道でどこが屋根なのか、陸橋なのか建物なのか分からない感じです。
覗きみたところ
レセプションスペースを通して向こう側の庭が見えます
今歩いたところを振り返る
そのまま更に前に進むと、このなだらかな階段で降りられる
階段を降り切る前に建物の一部を振り返るとこんな感じ
建物の壁面は湾曲していて登れる(途中まで)
コンパクトですがしっかり主張があり、自然に対抗している様で馴染んでいる不思議な建物でした。
 
私の個人的な感想ですが、このデザインはその後ドイツで作られたBMWのショールーム(2003‐2006)に生かされているのではないでしょうか。
 

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