【アート通信ー62:「マーク・マンダースーマーク・マンダースの不在」展】

 62回目のアート通信は、6月1日(火)より東京都現代美術館にて再開する「マーク・マンダースーマーク・マンダースの不在」展のご案内です。

22日まで会期を延長して再開


ややこしいタイトルですが、要はマーク・マンダース(1968-)という美術家の日本初の個展です。

《未焼成の土の頭部》(2011ー14)

マーク・マンダースは、オランダ出身で現在はベルギーを拠点として活動しています。18歳から〈建物としての自画像〉というユニークな構想で作品を作り続けていますが、〈建物としての自画像〉とは、彼が名付けた架空の芸術家"マーク・マンダース"の自画像を"建物"という枠組みで表現していく、というプロジェクトです。

《マインド・スタディ》(2010−11)の向こうにビニールで仕切られた空間が広がる

会場には、アトリエを再現したような空間もあります。ビニールで仕切られた空間に入っていきますが、ルートは1つではないので気をつけて!

《4つの黄色い縦のコンポジション》(2017-2019)

そして制作途中?と思うような作品にも遭遇します。素材にも注目ですよ!

《リビングルームの光景》(2008-2016)

観ていくと、そこに居たであろう"人"の気配を感じたり、マンダース本人と、架空の作家マンダースが混交したり、時間軸が分からなくなり、時が止まっているように感じたりします。

《3羽の死んだ鳥と墜落する辞書のある小さな部屋》(2020)

メイン会場は3階ですが、2階にも作品があります。大きな部屋の作品は1点のみ。これだけ?と思うかもしれませんが、覗いたただけで通り過ぎないで。入って初めて分かる仕掛けがあります!

《2つの動かない頭部》(2015-2016)

メインエントランス脇の屋外にも作品があるので見逃さないように!


オンラインで質問に答えるマーク・マンダース

今回のようなプロジェクトでは、作家自身が来日し構成を細かに決めていくべきなのですが、このコロナ禍で来日できず、リモートで設置場所などを指示したそうです。

最後に、やはりリモートで残していった彼の言葉を紹介します。
「本当に作りたいと願うものは、動かず完全に沈黙して、張り詰めたまま時を横断する、そうしたもの。」
作品鑑賞の参考になれば。

この1年半、新型コロナウィルスまん延の影響を受け、美術館は準備してきた企画展の中止を何度も余儀なくされてきました。今回は残りわずかな会期ですが、無休で開催するそうです。"出来る事、全てをやろう!"という美術館側の意気込みを感じますね。

季節がいいので、美術館がある「木場公園」の散歩もお奨めです。また、近隣には美味しいコーヒー屋さんが沢山集まっているのでそちらも是非!


東京都現代美術館
注)観覧には人数制限が必要な為、予約が必要。








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