【アート通信ー40:「東京都現代美術館」】

第40回目のアート通信は、老朽化による設備改修と耐震化工事を経て、2019年4月にリニューアルオープンした、「東京都現代美術館」です。

「東京都現代美術館」公園口

東京都には以下の国公立美術館があります。
「国立西洋美術館」(上野)
「東京国立近代美術館」(竹橋)
「国立新美術館」(六本木)
「東京都美術館」(上野)
「東京都現代美術館」(清澄白河)
「東京都写真美術館」(恵比寿)
「東京都庭園美術館」(目黒)
このうち現代美術を専門に扱う美術館が「東京都現代美術館」。中心部より少し離れアクセスはあまり良くないですが、企画展のレベルは高く海外からも高く評価されている美術館です。

1995年の開館からは25年近く経ち、一度は訪れた事がある方も多いと思いますので、今回はリニューアル後の変更点を中心にご案内します。

変更点その1
エントランスホールにあった通称「人をダメにするソファー」が「コルクの椅子」に変わった!同時にインフォメーションやサインボードも一新。

リニューアル前のエントランスホール

リニューアル後のエントランスホール

個人的には「人をダメにするソファー」が好きだったので寂しい気もしますが、エントランスホールが少し広くなった印象を受けます。コルクという素材は自然を意識し、公園からの続きなども意識し選んだそうです。

変更点その2
レストラン・カフェが変わった!

レストラン「100本のスプーン」

レストランのメニュー表も美術館らしい

カフェ「二階のサンドイッチ」へは中庭からアクセス可

レストラン・カフェは共に、現代美術のコレクターでもある遠山正道氏が代表を務める株式会社スマイルズによる営業です。特にレストランにはベビーカーでそのまま入れるなど若い世代に優しい工夫や、子供から大人まで楽しめる仕掛けが沢山あるので見つけてみて!

変更点その3
散歩道ができた!

今まで気がつかれなかった「水と石のプロムナード」

建物の下に広がる水と石の空間

もともと公園側にもあった美術館入り口を使用するようになり、水と石のプロムナードを経て中庭に抜けられ、そのままカフェに入る事も出来るようになりました。

変更点その4
美術館の内外に、鈴木昭男氏(1941-)の作品《道草のすすめー「点音(おとだて)」and "no zo mi"》(2018-2019)の設置

水と石のプロムナード脇に設置された「点音(おとだて)」のプレート

屋外展示場には”no zo mi"が設置されている

「点音(おとだて)」とは、そこで一度立ち止まって耳をすましてみて、感じてみて、という道草の道しるべのようなものです。これらのプレートをたどっていくと、"no zo mi"に辿り着くようになっています。美術館には「道草のすすめマップ」があるので参考にしながら道草してみてはいかがでしょう。きっと今まで気がつかなかった景色に出会えますよ!

今回のリニューアルは、柳澤孝彦氏(1935-2017)の設計のよる建物に手を加える事なく、長坂常氏(1971-)が率いるスキーマ建築計画と色部義昭氏(1974-)によるサインデザインの変更のみ、とのことですが、今まで見えなかった建物下の動線がくっきりし新鮮です。また、隣の「木場公園」との連続感、自然と相性の良い美術館になった感じです。

ところでこちらの美術館、展示替えの期間は美術館だけでなくカフェや図書館もお休みとなるので注意が必要です。(レストランは営業の場合もあるのでHPで確認を!)また、これは美術館としてどうなのだろう?と思うところでもあります。


東京都現代美術館
アートを見つけながら散歩も出来る!「東京都現代美術館」

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