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【建築巡礼ー1:レンゾ・ピアノの建築】

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今回の旅ではレンゾ・ピアノ(Renzo Piano1937~)が関わった4つの建物(拠点)を見て来ました。   ① ロンシャン女子修道院(Le monastѐre Sainte-Claire)と ゲートハウス (La poterie)/2011/ロンシャン   ロンシャン礼拝堂近くに建てられた修道院と受付棟です。 修道院は、礼拝堂が丘の上に立っているという 景観を重視しているので、ゲートハウスから礼拝堂に向かう際は見えますが、礼拝堂からは全く見えません。  ゲートハウスに展示してある敷地模型  上から見るとこんな感じ。もっと上に上がると屋根も全く見えなくなる。 修道院建設の為の図面の一部  景観にとても配慮している事が分かります。  シスター達の居室は外部に向かいガラス張りでとても明るい。 居室の中も見せて頂きました。 コルビジェを意識したのかと思える壁や床の色、材質など随所に様々な工夫が感じられました。   女子修道院・ゲートハウス ② パウル・クレー・センター(Zentrum Paul Klee)/2005/ベルン 4000点以上のパウル・クレーの作品を保管、管理する美術館です。  入口に向かうスロープ 写真などでは‘波の形状の建物’という印象を持っていましたが、実際に見た感想は"土から生えた建物"です。 建物を支える骨が土から生え、弧を描き、また土に還っていく、そんな感じです。 骨の一部は土に埋まっている そしてセンターの裏に廻るともう建物は見えず、建物全体が土に埋まってしまったかの様です。  普通に芝の上(屋根の上)を歩けてしまう。 この美術館の素晴らしいところは、<アートと自然>の関係性を尊重しているところです。 緑地帯では環境を保護・持続させる為に農耕作が行われ、アートを用いてその土壌管理の利点や問題点を伝えようとしています。 確かに、21世紀のアートにおいて「アートの枠を越えて自然との融合を図る」事は大事なキーポイントとなるかもしれません。  屋内から見るとこんな感じ。 また、それぞれの波には役割があります。 北側の波にはカフェ、ホール、子供の為の部屋などが入り、

【アート通信−2:「江戸東京博物館」】

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個性的なデザインの建物。名物のエスカレーターはここからは見えない。 「江戸東京博物館」は両国駅のすぐそば、国技館のお隣にあり、菊竹清訓 建設設計事務所 によるちょっと変わった建物です。 4月10日まで特別展として「レオナルド・ダ・ヴィンチー天才の挑戦」を開催中ですが、私の一番のお薦めはここの図書室です。 7階にある図書室 江戸(東京)にまつわる本が子供向けのものから専門書まであり、その切り口も様々でとても興味深いのです。 一日中居ても飽きません。 また、昔の地籍台帳・地籍地図などもあるので興味がある 場所の歴史を詳しく知る事も出来ます。 同じフロアにある和食処でゆっくり休憩を取りながら調べ物をするのもいいですね。 図書室の利用だけなら無料です^^。 *9時30分〜17時30分 月曜休み 7階にある「和食処 桜茶屋」 もし時間に余裕があるのなら、是非5・6階にある常設展へ足を運んで下さい。 江戸時代から現代までの東京の移り変わりが模型などで分かり易く展示されており、 大名かごに乗ったり、肥桶を持ち上げたりと体験して楽しめるコーナーもあるので外国人の方はもちろん、お子様も充分楽しめると思います。 日本橋を境に〈江戸ゾーン〉と〈東京ゾーン〉に分かれている 特に〈江戸ゾーン〉には 芝居小屋 、 お蕎麦屋さん 、 お寿司屋さん 、そして多くの町人が暮らしていた 長屋 などがあり、 「あ~ここで仕事をして、ここでお寿司をつまんで、今日は歌舞伎でも見よう…と出かけたんだろうな~。ここの井戸では近所のお母さん達が集まっておしゃべりしながら洗濯したんだろうな~。」 といろいろ想像出来ておもしろいです。 長屋は大きな家を分割してお風呂は銭湯、トイレは共同で他人同士が同じ屋根の下に住んでいたのですから、今で言うとシェアハウスでしょうか。 棟の前後でも部屋を分ける〈棟割長屋 〉 4畳半程のスペースで仕事をしたり、寝たりと今で言うミニマム生活? 江戸時代の代表的な歌舞伎の芝居小屋「中村座」  「助六」の再現。写真に写っているのは人形です。 芝居小屋「中村座」では実際に見て楽しめる催し物が定期的にあるので要チェックです。 1階から3階まで1本でつながっている名

【コルビジェ巡礼ー7:母の家】

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正式名称はla Villa「 Le Lac」(湖の家)です。 コルビジェとジャン・ヌレの設計により1923年、コルビジェが36歳の時に引退した両親にプレゼントした家で、スイス、レマン湖の畔にあります。父親はこの家に住み始めてまもなく亡くなってしまったので、実質‘母の家’という事なのでしょう。 個人的にはとても親しみを持ちました。なぜならその規模が小さく、自分の感覚で把握できるサイズだったからです。長さ16メートル、幅4メートル、長方形の平屋です。  庭より家を見る。ガラスの窓の様な扉が玄関。 中に入ると廊下はなく、ゲストルーム、食堂兼サロン、寝室、バスルームとわずかな仕切りだけで繋がっています。(このうち、ゲストルームは開閉式の扉で完全に仕切れます。) ゲストルーム。扉はすべて左側に収められる。  食堂・サロン  寝室   バスルーム どの部屋も南に面し、一連の大きな窓で繋がっているのでとても明るく眺望も素晴らしいです。しかも窓の高さが絶妙で、家の中から外を見ると敷地は見えず、まるで船に乗って航海している気分になります。  やはりある!屋上。  道路側より庭を見る。左奥の扉からはボート乗り場に直接出られる。 敢えて作った塀と窓。特等席。 庭から直接出られるボート乗り場。  庭に設置されている犬用の椅子。小窓から通りを行きかう人を見る事が出来る。 訪れた時は3月だったので緑も多くありませんでしたが、当時の写真を見るとうっそうと木々が生えているので、もっと緑に囲まれた家だった様です。 図々しい発想ですが、自分が住むなら自宅というより別荘かなと思いましたが、アルプスの山々やレマン湖を独り占めする眺望、庭からすぐボート乗り場に出られる解放感、とは言え、町から隔離されていないアクセス(駅まで徒歩20分)、細かいところまで気配りが行き届いた建物、「こんな家に住みたい!」と素直に思える家でした^^。 la Villa「 Le Lac」 コルビジェ巡礼はこれで終わります。 次回からは 今回の旅で触れた素晴らしい 建築・場所 について触れていきたいと思います。 *‘ コルビジェ’の表記について 彼の本名は:シャルル‐エドゥ

【コルビジェ巡礼ー6:ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸】

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ラ・ロッシュ邸 (Maison La Roche 1923~1925) コルビジェが 従兄弟のピエール・ジャンヌレと共に事務所を始めて間もなくの頃、 38歳の時の作品で パリにあります。 ラ・ロッシュ邸 ジャンヌレ(コルビジェの従兄弟)の家とラ・ロッシュの家が長屋状態にくっついていますが、公開されているのはラ・ロッシュの家の方なのでラ・ロッシュ邸と言われる事が多い様です。 ラ・ロッシュ邸とジャンヌレ邸部分(右側:現在はコルビジェ財団本部) ラ・ロッシュ邸玄関前のパティオ   ラ・ロッシュ邸の玄関 玄関を入って左、来客に対応する空間の2階への階段 玄関を入ると、入り口の小ささと玄関ホールの大きさのギャップに驚きます。そしてこの空間を境に、左側が来客に対応する空間、右側がプライベートな空間へと分かれています。 ギャラリースペース ラ・ロッシュ氏は、銀行家であり、 現代美術のコレクター でもありましたので、 自宅設計の条件に、コレクションの展示スペースを設ける、がありました。 よって、この2階(現地での数え方では1階)の ギャラリースペース は、とても大事なスペースです。 中に入ると奥から折り返す様に スロープ が3階(現地の数え方では2階)に伸びています。スロープの反対側の壁面は絵画の展示スペースです。 ギャラリースペース入り口からスロープに向かう(当時の写真)   スロープを降りながらギャラリースペースを見下ろす(当時の写真)   玄関上の渡り廊下から外方向を見る スロープ上のガラス窓より外を見る   屋上にも緑が一杯 外部に向かってはガラス窓を多く用いており、そこから周囲の緑がよく見え、 住宅が密集しているパリとは思えません。 初めてギャラリースペースのスロープを見た時、青山スパイラルギャラリーのスロープを思い出し ました。 考えてみればコルビジェが携わった国立西洋美術館にもスロープはありましたから、スロ ープを移動しながら美術を鑑賞する、というアイデアはこの頃からなのでしょうか。 (コルビジェは「歩いて建築を感じる」と言っています。確かにスロープを踏みしめながら歩くと、階段を上がって行くのとは違う感覚、「建築を体で