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【アート通信ー3:「マルセイユの集合住宅」】

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近代建築の巨匠:コルビジェの設計によるマルセイユの集合住宅、ユニテ・ダビタシオン(Unite d'abitation,Marseille 1945-52) を見てきました。 ユニテ・ダビタシオン(Unite d'abitation,Marseille 1945-52)  貴重な体験でした。 それは建物の素晴らしさだけではなく、案内して下さる住民が遅刻してきた事から始まりました。 私達を「決して中には入れさせない」とする警備員、「せっかく見に来てくれたんだからホテルのラウンジでコーヒーでも飲みながら待ってもらったら?その方がここにいるよりずっとエレガントよ!」と主張する偶然通りかかった住民マダム。 議論好きのフランス人にありそうな話ですが、双方とも建物の事、住民の事を思っての主張です。 私にはこの優れたデザインの建物に住み、生きた状態で守り続けようとする住民達の意気込みの様に感じられました。 もしトラブルなく、スムーズに案内されていればこういった事は感じられずに終わっていたでしょう。 また、ここでは建物全体は「町」、共用廊下は「通り」という認識で、住民の方々は廊下やエレベーターで積極的に声を掛け合っていました。 そういった生の生活状況を肌で感じられた事も貴重でした。 長さ137m、幅24m、高さ56m、18階建、全337戸の建物には幼稚園や店舗が入り、現在は一部ホテルとしても利用されています。 屋上にはプールや簡単なイベントを開催できる舞台、庭などがあります。 *住居スペースについては 【コルビジェ巡礼ー3:マルセイユのユニテ・ダビタシィオン】 をご覧ください。 [エントランス] 広いエントランスはアートギャラリー として活用されていました。 エントランス、入口からエレベーターまで。 現代美術の展示、オープニングパーティーなどもこちらで行われ、何点かが売約済みだった エントラスにある住民向けのインフォメーション、意外にシンプルでかわいい。 [ホテル] 一部が 空き室対策を兼ねてホテル・レストラン として利用されています。 大きなガラス窓のレストランはとても素敵でした(見ただけです)。 ホテルのラウンジ・レストラン [ショップ] 住民の方が「クロワッサンがおいしい!

【コルビジェ巡礼ー4 : マルセイユのユニテ・ダビタシオン】

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ユニテ・ダビタシオン(Unite d'abitation,Marseille 1945-52) マルセイユにある集合住宅 。 第二次大戦後、フランスでコルビジェが初めて請け負った公共事業。 長さ137m、幅24m、高さ56m、18階(日本の数え方)、全337戸の建物が緑豊かな敷地に建っています。 現在も修繕しながら当時の姿を残し、使い続けられています。 建物全体を「町」 ととらえており、 共用廊下は「通り」 という認識です。 この建物での数え方で3階(日本の数え方で7階)に店舗が入り、現在は空き室対策から一部がホテルになっています。 最上階には幼稚園、屋上には幼児の為のプールや簡単なイベントを開催できる舞台、庭があります。 共用部廊下。少し暗いがカラフルで楽しい。 [住居] 住居は基本いわゆるメゾネット形式の間取りで作り付けの収納家具にも様々な工夫が施されています。  共用部に建物の案内として張ってあった図面 リビングの吹き抜けには高さがあり、全面ガラスに開放感があります。東西に窓があるので、ドアを開け放つと風が部屋を走り抜けます。 リビングの吹き抜けは高さがあり、全面ガラスに開放感がある メゾネット上部に上がる階段は、上り下りしやすい様に台形で、長い底辺が手前になっている 面白いのは 外装は公共 に属し、 内装はプライベート である、という考え方です。 分譲住宅であるにも関わらず、テラスの外壁の色は変えられません。 でも内装は、例えそれがオリジナルの棚であっても自分好みの色に変えられます。 見学した家のマダムは棚をグレーに変えていました。 赤・黄は変えられない 本来カラフルだった作り付けの棚はグレーに ライトや作り付けの棚などは シャルロット・ぺリアン 、 ジャン・プルーヴェ と共に制作されました。   現在も大事に使い続けられているシャルロット・ぺリアンのライト 共用部にある渦巻き型のオブジェはオリジナルのライト 庭にもオリジナルライト エントランス、ホテル、ショップ、屋上などについては、 【アート通信-3】-マルセイユの集合住宅ー で触れます。  

【コルビジェ巡礼ー3 : ラ・トゥーレット修道院】

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ラ・トゥーレット修道院(Couvent de La Tourette 1953-1960) 1952年にドミニコ会のクトュリエ修道士がコルビジェに依頼して、リヨン近くの田園地帯Eveuxに建てられた修道院。 外観・北側より 外観・南側より こちらも修道院とは思えない不思議な形です。クトュリエ修道士がコルビジェに依頼した理由は「 決められた形ではなく、美しく新しいデザインの建物に祈り・修道生活を一致させたいから 」だそうです。先進的な考えの持ち主であったと共に、よほどコルビジェを信頼していたのでしょう。  中に入ると外観で感じた時よりも光が多く差し込んでいる事に驚きます。  窓は目線の高さで実際に立つと意外な解放感  前記のロンシャン礼拝堂の後に竣工していますので、礼拝堂と修道院と用途は違いますが同じ宗教施設としてロンシャンの礼拝堂を踏まえて、より洗練された形でラ・トゥーレットがつくられた様に感じます。 驚いたのは光の柔らかさです。   また、その光の取り込み方にも様々な工夫がなされています。   トイレにも素敵です 例えば窓枠の取り方には独特のリズムがあり、これからイマジネーションを得て出来上がった音楽もあるそうです。  アトリウム 聖堂 聖堂   礼拝堂 礼拝堂で、祈りにつくのと同じ位置にひざまずいてみました。上を向くと、光に色の効果がプラスされてなんとも不思議な気持ちになりました。 礼拝堂天井・部分 じっくり見学したつもりですが、まだ建物全体を理解しきれていません。 宿泊も可能 なので、今度は宿泊して落ち着いてこの建物を感じてみたいです。 また、こちらの修道院は 現在も10名の修道士が宣教活動 に励んでいますが、 現代美術などの展示にも利用されており、こちらにも注目したいところです。 【コルビジェ巡礼ー2 : ロンシャン礼拝堂】   Couvent de La Tourette  

【コルビジェ巡礼ー2: ロンシャン礼拝堂】

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ロンシャン礼拝堂(Notre-Dame du Haut 1953-1955) ロンシャン村を見下ろす小高い丘に建つ礼拝堂。第二次世界大戦で破壊され、コルビジェが再築。 三角形の大きな屋根がのったこの形は印象的で、一度は訪れてみたいと思っている方は多いと思います。私もその一人でした。 ぐるっと周囲を廻って眺めるとその形の面白さや複雑さに驚きます。巨大な彫刻と言った方がいいかもしれません。 内部には外部と呼応する要素、コルビジェらしい造形要素もありますが、ステンドグラスの光が軽やかに差し込み、外の迫力とは対照的に繊細です。屋根と壁の隙間から差し込むかすかな光 や、小礼拝堂上部から差し込む光は、白く粗い壁面で屈折して柔らかく差し込んできます。  ステンドグラスは掘り込んだ壁の先に取り付けたものと、手前の壁に取り付けたものがあり、そのコントラストがリズムを作っている そして床は地形を生かして祭壇に向かって緩やかな坂となっています。   もう一度外に出てじっくり観察。円柱と三角そして四角のコラボレーションが軽快なリズムを刻みながら配置されている事が分かります。     ステンドグラスもありますし、天気や時間によってその表情を変える建物だと思います。 何度訪れても新たな発見があるかもしれません。そして何より、現在も機能している礼拝堂ですから、今度はただ建物を観るだけではなく、可能なら礼拝に参加してその空間を肌で感じてみたいと思いました。 礼拝堂に向かう途中には礼拝堂を建設する際、作業員が宿泊所に使用していた小屋があります。こちらもコルビジェのものです。こちらからもコルビジェが提唱した5原則:①ピロティ②屋上庭園③自由なプラン④水平連続窓⑤自由なファサードを感じられます。 礼拝堂までの道の途中にレンゾ・ピアノ設計の修道院がありますが、こちらに関しては後程触れます。 13,rue de la Chapelle/F-70250 Ronchamp Notre-Dame Du Haut

【コルビジェ巡礼ー1 : 休暇小屋】

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フランスに来ています。 コルビジェを中心に、色々な建築・アートを見て帰る予定です。 見て感じた事を徐々にをアップしていきたいと思います。 1日目はコルビジェ(本名: シャルル・エドゥアール・ジャンヌレ 1887〜1965 )が最後を過ごしたカップ・マルタンを訪れました。 いきなり終焉の地からのスタートですが、コルビジェは水泳中の心臓発作でこの海のこの場所で亡くなったそうです。 その海にほど近い小高い所に建つレストランはコルビジェが毎日通ったお気に入りのレストランで、入り口の壁には彼が描いた絵が残っています。 そしてもっと通いやすくする為にレストランの横に自分の家まで建ててしまいました。それが所謂「コルビジェの休暇小屋」です。 玄関脇の扉を開けるとレストランに直接入れる様になっています。 窓は3つあり、それぞれの窓から岩、木、海を眺められる様に設計されており、 8畳程の広さに、ベッド、作り付けの家具、そしてトイレなどがそろった機能的な造りになっています。(台所は隣のレストランに食べに行くので必要ありません。シャワーは屋外にあります。) 更にすぐ脇に作業場(アトリエ)も作り、 仲の良い友達が住めるアパートまでも作ってしまい、 人生最後の時を毎日ここで親しい友人達と飲んで食べておしゃべりをして、仕事もしてという充実した日々を過ごしたそうです。 アパートからアトリエまでは想像していたよりもずっと 素朴でコンパクトでした。