五島列島の教会ーステンドグラス

五島列島を旅して来ました。
目的は以前より日本の初期教会建築に興味があり、キリスト教解禁となった後に建てられた教会を観る為です。

久賀島 旧五輪教会堂(1881年建設)

旅は素晴らしいものでした。
「百聞は一見にしかず」
旅の度に感じる事です(^ ^)
詳細は追ってお知らせするとして、今回はステンドグラスの事に触れます。
*教会内部では、写真撮影が禁止されているので、ご案内は旧教会や資料写真からとなります。

〈ステンドグラスで表現されたものに関して〉
おそらく当時(19世紀後半)の日本にはステンドグラスの高度な技術が無く、また高価なガラスの輸入もままならなかったのでしょう、"教え"をステンドグラスで表現する事はなく、キリストや十字架を象徴する模様が用いられていた事が大きな特徴に感じました。
中通島 青砂ヶ浦天主堂(1910年建設)資料館写真より
西洋では、字が読めない人も分かる様に、イエス・キリストの受難などをステンドグラスで表現する事が多いのですが、こちらではそれを絵で描き、各場面に分けてステンドグラスの上に設置していました。
中通島 旧鯛ノ浦教会(1903年)
美しいステンドグラスで有名なフランスのサント・シャペル教会は13世紀に建てられていますから、日本のステンドグラスの歴史はかなり浅いと言えます。

〈ステンドグラスの色に関して〉
ガラスの色は、海・植物・太陽を象徴する青・緑・赤・黄が多用され、自然崇拝に近いものを感じました。
 
〈ガラスの溶接に関して〉
通常ステンドグラスは色ガラスを鉛で溶接して"絵"を作り上げていきますが、色ガラスや金属は貴重だったのでしょう。
繋ぎは木であったり、無地のガラスにわずかな色素で模様を描いている教会(奈留島 江上天主堂)もありました。
木枠のステンドグラスはカラー和紙を使った欄間の様で、極めて日本的だと思います。
中通島 旧鯛ノ浦教会(1903年)

*ステンドグラスとは離れますが五島列島の教会では、聖母子像は殆ど無く、ヨセフがキリストを抱いている像が多く、男尊女卑、あるいは長男家長制といった日本のしきたりと関係があったのでしょうか?

自然の中に静かにたたずむ教会群は西洋のものとは明らかに違い、日本のキリスト教信仰はここから始まったのだと実感出来るものでした。

現在、内部を鑑賞に事前連絡が必要な教会がいくつかあります。

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