【アート通信ー113:「ロン・ミュエク」展】
113回目のアート通信は、現在、東京・六本木の森美術館で開催中の「ロン・ミュエク」展からです。
| 会場入り口付近 |
ロン・ミュエク(1958-) は、オーストラリア出身の作家で、元々は撮影用の人形や道具を作る模型職人でしたが、画家の義母の誘いで自身の作品を作るようになりました。
とても大きな人物像を作る作家として知られていますが、今回の展覧会では小さい作品や、日本初公開の作品も出品されています。
日常のありふれた風景が目の前にとてつもないサイズで現れると、一瞬戸惑うと同時に基準が分からなくなり、いきなり違う世界に飛ばされた錯覚にも陥ります。
| 『イン・ベッド』(2005) 部分 |
作品の人物は、困っている様な、人生に疲れている様な憂いを帯びた表情をしており、どこかで出会った事があるような不思議な親近感を感じますが、視線はこちらを向いている様で合いません。
彼はこの作品を、18世紀のイタリア画家、ジョバンニ・バッティスタ・ティエポロの『ヴィーナスと時間の寓意』(1754-175 )から着想を得て制作しました。
しかし、ジョバンニの作品では、時間を表す象徴として翼を持つ老人サトゥルヌスが描かれていますが、このエンジェルはより現実的。ちょっとお腹が弛んでつまらなそうにしているおじさん風。
本物かと見紛う程の脚のすね毛や肌の質感にも注目です!
| 『枝を持つ女』の制作風景 写真 |
今回の展覧会のもう一つの見所は、写真家であり、映画監督でもある、ゴーティエ・ドゥブロンド撮影による、ロン・ミュエクのスタジオでの制作風景の写真と映像作品の公開です。
『枝を持つ女』をスタジオで撮影した写真もあり、また違った印象を受けるのでこちらもお見逃しなく!
“マス(Mass) " という言葉には、山のように積み重なるもの、集団、教会ミサなど様々な意味がありますが、鑑賞者は100点もの巨大な頭蓋骨の間を彷徨いながらその圧巻の時空間を旅します。
| 『チキン/マン』(2019) |
展示会場のラストの方にある、ゴーティエ・ドゥブロンドが撮影した映像作品の部屋もお見逃しなく!その制作過程を追ったドキュメント風の映像から、作家の作品との向き合い方や制作に膨大な時間が掛かる訳がよく分かります。
| 『スタンディング・ウーマン』(2007) 十和田市現代美術館パンフレットより |
ちなみに、日本でロン・ミュエクの作品が常設されているのは、「十和田市現代美術館」の『スタンディング・ウーマン』1点だけ。今回の展覧会は、まとまった作品を観られる貴重なチャンスです。
作品サイズは敢えて記入しませんでした。その大きさも小ささも会場で体感してください!
「ロン・ミュエク」展は、9月23日まで「森美術館」にて開催中!詳しくはHPにてご確認下さい。
コメント
コメントを投稿
感想やお仕事のご依頼などはこちらから