【アート通信ー103:「はにわ」展】

 103回目のアート通信は、現在、東京国立博物館 平成館にて開催中の、挂甲の武人 国宝指定50周年記念特別展「はにわ」からです。

可愛いです。可愛いという一言で片付けてはいけないと思いますが、やはり全て可愛いです。それは、可愛いものを愛でる、あるいは可愛いものを作るのが好き、という日本人の特質は古来よりだったんだ!と認識した程です。

平成館入り口を入ってすぐのポスター

そもそも『はにわ』とは、古墳時代(3−6世紀)に権力者の墓である古墳の上や周りに立てられた焼き物です。目的は、墓に邪悪なものが入り死者を苦しめないようにする為と言われており、その形は様々です。早速、観ていきましょう!

「埴輪 踊る人々」正面  埼玉県熊谷市 野原古墳出土, 6世紀, 東京国立博物館蔵

展示は5章からなり、【 第1章  王の登場 】 は全て国宝、という珍しい展示スタイルで始まります。

まずはお馴染みの「埴輪 踊る人々」。ファンドレイジングの力も借りた修理後、初のお披露目です。左の人が少し大きく、右の人の髪は結い上げられている様なので、男女、と思いがちですが、実は2人とも男性。

この髪型は『みずら』と呼ばれる耳の前で毛束を作る男性の髪型で、ちなみに、これをつければあなたも古代の人、みずらヘアーになれる『みずらカチューシャ』がこの展覧会のミュージアムショップで売られていますよ!

「埴輪 踊る人々」背面 埼玉県熊谷市 野原古墳出土, 6世紀, 東京国立博物館蔵

また、背面から見ると『みずらヘアー』の左側の人は腰に鎌をつけているので、踊っているのではなく、馬を曳きながら食べる草を刈っているのでは?という説もあるそうです。どうでしょう?

 【 第2章  大王の埴輪 】 は、天皇の系譜に連なる古墳の紹介、 【 第3章  埴輪の造形 】では、家や船など様々な形の埴輪が紹介されており、どちらも興味深い展示です。

第4章「埴輪 挂甲の武人」展示風景

ハイライトはやはり、【 第4章  国宝 挂甲の武人とその仲間 】の「挂甲(けいこう)の武人」5体でしょう。この5体は群馬県太田市の同じ工房で焼かれており、更に同じ職人によって作られたのでは?とまで言われています。しかし保管場所がそれぞれ異なるので、兄弟のような5体が勢揃いするのは史上初めて!滅多に無いチャンスです。

後ろにも回っても観られれるので、是非360度から観察してみて下さい。よく見ると、服装もポーズも少しずつ違い、それぞれに個性があります。

「埴輪 挂甲の武人」正面 群馬県太田市成塚町出土, 6世紀, 群馬(公財)相川考古館

台座の色は、保管場所ごとに変えているそう。

ちなみに私のお気に入りは、群馬の相川考古館で保管されているこの子。刀の持ち方がなんとも可愛い!

第5章 物語をつたえる埴輪 より「動物埴輪」 展示風景

思わず “可愛いねぇ〜” という声が漏れるほど人気だったのは、 【 第5章  物語をつたえる埴輪 】の動物たち。こちらも360度鑑賞出来ますよ!

動物埴輪が作られた理由には、死者の生前の生活の様子を伝える、あるいは生贄の代わりだった、などの説があるそうです。

第5章 物語をつたえる埴輪 より「埴輪 力士 」展示風景

こちらは「埴輪 力士 」。この当時から、力士が存在していたんですね!まわしを締め、片手を腰にあて、もう一方を上に挙げるポーズも現代と同じです。

古墳に埴輪力士が登場するのは、巨体で力が強い力士が四股を踏むと、その土地が鎮められ邪気を払える、と考えられていたからだそうです。

ミュージアムショップにて販売中『みずらカチューシャ』

こちらが先に触れた、みずらヘアーになれる『みずらカチューシャ』。いかがですか?

ミュージアムショップでは、この他、エコバックやこれを着ればあなたも「挂甲の武人」になれる『挂甲の武人ルームウェア』など、ちょっと珍しいものも販売されていますよ!


全て許可を得て撮影。

挂甲の武人 国宝指定50周年記念特別展「はにわ」は、東京国立博物館 平成館にて、12月8日(日)まで開催中。詳しくは、ホームページをご覧ください。

挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」



 



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