【アート通信ー90:丸の内が面白い「大丸有アートアクション」】

 90回目のアート通信は、東京・丸の内からです。

薄久保香「すぐ傍に見つけたあなたの分身」(2023) 部分

丸の内と言えば、言わずと知れたビジネス街。遊ぶ、のんびりするというイメージからは遠いかも知れませんが、実は通り沿いに彫刻が設置された「丸の内ストリートギャラリー」があったり、歩行者天国があったりと、都会のアートオアシスのようなスポットとなっています。

また、現在「大丸有アートアクション」という無料のアートイベントが11月5日(日)まで開催されていて、丸の内はより面白くなっていますよ!

ティモ・ソリン「日光浴をする女」(1995) 彫刻の森芸術文化財団蔵

「丸の内ストリートギャラリー」は、〈丸の内仲通り〉を中心に19点の作品が設置され、歩道を歩きながら自由に作品鑑賞出来る様になっています。

多くの作品は3年に1回のペースで「彫刻の森美術館」の作品と入れ替えられますが、ここでは、〈丸の内仲通り〉の為に作られた作品3点をご紹介します。

船越圭「私は街を飛ぶ」(2022) 

1作目は、船越圭氏の「私は街を飛ぶ」。氏は木彫に着色を施し、柔らかな雰囲気を醸し出す事で有名ですが、こちらは珍しくブロンズに着色した作品。ブロンズでもその柔らかでどこか不思議な空気感は健在です!

中谷ミチ子「小さな魚をだいじそうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥」(2022)

2作目は、中谷ミチ子氏の「小さな魚をだいじそうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥」。こちらもブロンズの作品です。魚は少女が運んでいると分かりますが、青い鳥はどこ?金ピカの空とは?現場で見つけて下さいね。

中谷ミチ子「小さな魚をだいじそうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥」(2022) 部分

また、こちらの女の子の視線は観る側の立ち位置によって変わってくるのも面白いポイントです。どの様に変わるのかは、実際にそこに立ってみてのお楽しみです。


シャーロット・デ・コック「HYPERNOVA」(2023)

そして、現在開催中の「大丸有アートアクション」は、この〈丸の内仲通り〉を中心に展開しています。大丸有とは、大手町・丸の内・有楽町の略で、2年に1回開催される国際芸術祭「東京ビエンナーレ2023」の会場の一部でもあります。

大手町ファーストスクエアの外壁に描かれたこちらの壁画は、シャーロット・デ・コック氏による「HYPERNOVA」という作品。菌の増殖、自然のパワー、繋がる力などを表現している力強い作品。

スローアートコレクティブの作品(2023)

そしてこちら、加藤チャコ氏とディラン・マートレル氏が主催する芸術グループ、スローアートコレクティブの作品には、観るだけでなく参加も出来ます。

東京サンケイビルの大手町仲通り側にあるこちらのコーナーでは、用意されている紐などを使って、自由に自分の軌跡を残せます。


私も参加してみました。やってみると、まるで写経をしている時のように無になって没頭。すっきりして楽しかったです。誰でも参加で出来るので是非!

スローアートコレクティブによる作品(2023)

スローアートコレクティブによる作品は、新国際ビルと新日石ビルの間にある路地空間〈スリットパーク〉にも展示があります。

こちらの空間には、ゴザシートや楽器などもあるので、座って鑑賞したり、楽器の音を出してみたりと、ちょっとしたお祭り気分に浸れるのが楽しい。

スローアートコレクティブは、自然素材などすべて再生利用可能なものを使用しています。この展示期間が終わると解体し、また別の展示で再利用する、という持続可能性も意識しているグループです。


〈丸の内仲通り〉から、薄久保香氏の作品を観る

ところでこの歩行者天国から、薄久保香氏の作品「すぐ傍に見つけたあなたの分身」が見えます。どこにあるか分かりますか?ヒントは『手』です。

薄久保香「すぐ傍に見つけたあなたの分身」(2023)

薄久保香氏作品はこちら、国際ビルの入り口ガラス面にも設置されています。

写真を駆使した、美しくダイナミックな作品です。建物によく馴染んでいるので知らなければ通りすぎてしまいそう。ビルに入って内側から観た方が、光を受けて作品がくっきり浮かび上がってくるのでお薦めです。

薄久保氏は3人の女性にインタビューをしてこれらの作品を制作しました。さてはて、どのようなストーリーから作品は生まれたのでしょうか?想像力を駆使して考えてみるのも楽しいのでは。

〈丸の内仲通り〉歩行者天国の様子

〈丸の内仲通り〉は、平日は11時から15時、土日は11時から17時まで歩行者天国です。その時間帯にはキッチンカーあり、テーブル椅子ありとよりゆったり過ごせるスペースになっています。


「大丸有アートアクション」は観るのも参加するのも無料!
涼しくなってきたので、〈丸の内仲通り〉に出掛けてみてはいかがでしょうか。

詳しい内容は下記をご参考下さい。


また「大丸有アートアクション」を楽しむ際は、下記のマップを利用すると便利です!











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