【アート通信ー56:「霧島アートの森」】

第 56回目のアート通信は、鹿児島県のアート施設「霧島アートの森」からです。

Choi Jeong Hwa (1961) 「あなたこそアート」(2000)

「霧島アートの森」は、2000年にオープンした鹿児島県が運営する野外美術館です。霧島連山の標高700メートルの高原に位置し、60500坪もの広さを誇ります。

入園料320円という驚きの安さですが、展示作品のレベルはとても高く、雄大な自然の中をそんなにアートに詳しくなくても散歩感覚で楽しめます!

特に屋外彫刻は、作家たちがこの地を訪れ、この場所の為に制作したので、もうまるでここの住民の様に馴染んでいます。現在23体の彫刻が設置されており、そのうちの何点かをご紹介していきましょう。

Jonathan Borofsky(1942-) 「男と女」(1999)

例えば、ゲートを通り屋外に出ると真っ先に目に飛び込んでくるのがこの巨大な人型。男性なのか女性なのか?東西南北から鑑賞出来るのでぐるっと回りながらじっくり鑑賞するのがお薦め!

Antony Gormley(1950-)「インサイダー」(1999)

この森のどこにアートが?よく見ると真っ正面に案山子のような人の形が見えますね。実はこの森に全部で5体のポーズ違いの彫刻があります。

身長など作家自身から割り出しており、作家の分身とも言えます。木々に紛れて立ち続けるこの人達は、四季を通して何を見て、何を考えていくのでしょう。

Casagrande&Rintala 「森の観測所」(2004)

中にはこんな作品も。白い壁で区切られたスペースそれぞれにベンチが設けられています。区切られ、閉ざされたようなこの空間に腰掛け、自然の音に耳を澄まし、光を感じながら対話も出来ます。まさに森の観測所!建物(彫刻)の内側にも空間があるので立ち寄るのを忘れないで!

Fuji Hiroshi(1960-)「犬と散歩」(2000)

道標の様に敷地内8カ所に設置されている犬の像。ポーズも様々で、中にはこんな粗相をしている子も!その他、ユニークなデザインの遊具も色々あるので家族連れでもかなり楽しめるでしょう。

トンネルの様な形の美術館

入場ゲートも兼ねているこちらの建物は、実は屋内展示場(美術館)。この建物のデザインのお陰で、一体がまるで北欧の様な雰囲気になっています。設計は早川邦彦氏(1941~)。カフェやショップも入っています。

ショップの中に展示、高柳恵理(1962-) 「この知っている親しみ」(2000)

晴れの日は気持ちの良い、カフェのテラス席


「霧島アートの森」には大きな駐車場はありますが、公共機関でのアクセスはあまり良くありません。それでも雄大な自然の元、世界的アーティストの作品に触れたり、座ったり、一緒に写真を撮ったり、とゆったりとした時間が過ごせるのは大きな魅力です。

霧島アートの森



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