24回目のアート通信は、ドイツの首都ベルリンにある「
ドイツ連邦議会国会議事堂」です。1999年に修復された建物で、コンセプトや残された外壁部分との合わせ方が面白く、エコに配慮した建物でもあります。
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ドイツ連邦議会国会議事堂正面 |
1894年にパウル・ヴァロット(1841-1912)の案でネオ・ゴシック様式で建てられました。しかしヒトラーが首相となった年の火災、第二次世界大戦などでほとんどが崩れてしまいました。現在の建物はイギリス人の建築家ノーマン・フォスター(1935-)の案により1999年に修復されたものです。それにより、外壁と元々あった屋上ドームの形状は残しながら、まったく新しい国会議事堂へと生まれ変わりました。
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屋上・ドーム部分のアップ |
屋上・ドーム部分を見学するには予約が必要です。建物の外でセキュリティーチェックを受けた後、巨大エレベーターで屋上に向います。屋上に着いたらガラスドームの側面に沿ってゆるやかなスロープを登りましょう。一方通行なので、ゆっくり歩きながら
外の景色を楽しめますよ。
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ガラスドーム内部 |
ドームはガラス張りでなのでとても明るいです。更に真ん中にある逆円錐型のミラーコーンの反射により、明るさはマックス!コーンには自分の姿が映ったり、周りの景色が映りこんだりもしています。そしてこのミラーコーンは単なるオブジェではありません。雨水を集めたり、熱を循環させるシステムも備えているんです!
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斬新なデザインの日よけ |
べろんと垂れている舌の様なものは日よけです。なんと、コンピューター制御で太陽を追いかけているそう。そしてドームをかたどる硝子の角度も太陽の動きに合わせて変わるとか。エコへの配慮バッチリのハイテク建築です。
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ドーム上部 |
登り切って上を見上げれば抜けるような青空。自然空間と繋がっている開放感と未来への期待のようなものを感じます。
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ドーム下部 |
下を見下ろすとこんな感じ。人が小さく見えますね。下部のガラス部分は自然光を階下に届けるばかりでなく、その下にある議事堂を透かして見られるようになっています。そしてこれにより議会の透明性も表現しているそう。
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屋上からドームを見る |
下りのスロープを伝って降りてきたら外へ出ましょう。屋上にはレストランもあるんですよ(要予約)。
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屋上からの眺望 |
屋上からは、石造りの外壁とハイテク建築のコラボレーションを通してベルリンの街を見渡せます。360度の眺望で街の様子がよく分かるのでベルリン観光はここから始めるのがお奨めです!
今回は屋上とドームの見学のみでしたが、その他〈議会の機能を中心とした見学〉〈子供連れファミリーを対象とした見学〉、そしてこの国会議事堂にはギャラリーのようにたくさんの現代美術が展示されているので〈建築とアートを中心とした見学〉があります。どの見学にも〈屋上とドームの見学〉は付いており、いずれも無料です。但し事前予約が必要で、入館の際にはパスポートの携帯もお忘れなく!
エレベーターを降りたところに展示されている現代美術の巨匠、ゲルハルト・リヒテター(1932-)とシグマー・ポルケ(1941-2010)の作品見逃さないで!
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ドイツ国旗色のゲルハルト・リヒターの作品 |
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シグマー・ポルケの作品 |
ドイツは、ユダヤ人への迫害、東西の分裂などとても重い歴史を背負ってきた国です。この国会議事堂の建物にもそんな歴史がしみ込んでいます。しかしここではそれを完全に壊すことなく新しいデザインを加えています。しかもそれは建物が自立できるようエコに配慮した美しいハイテクデザインです。レベルの高い現代美術も組み込まれており、それらすべては今のドイツの姿勢を如実に表しているように感じます。