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日光:修復中も楽しい!

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急に思いついて、「日光」に行って来ました。 電車で行くのは初めてでしたが 東武浅草駅のホームから雰囲気がありました。 日光と言えば「東照宮」。   東照宮ではあちこちが修復工事中でしたが現在は修理を公開する方針の様で、舞台裏を覗く楽しさと修復作業がどの様に行われるのかが分かる貴重な体験となりました。  修復中の輪王寺の「三仏堂」は覆屋に覆われていますが、表の写真であるべき建物の姿が分かる 修復中の「三仏堂」は1階から順番に鑑賞出来、修復中の箇所はその修復現場を見学出来ます。  「三仏堂」の7階の高さから眺めた大屋根の修理作業、屋根の組み方がよく分かる。 同じ7階から外を見ると山内が見下ろせる 「陽明門」も修復中でしたが偶然、修復後の彫刻を運び込むところから設置までを見学出来ました。  ちょうど彫刻設置の作業中 東照宮神厩舎の‘見ざる、言わざる、聞かざる’で有名な「三猿」も修復中の為レプリカに差し替えられていました。でも別な場所にある作業場で、生まれたての姿(?)に出会えました(^ ^) 色が落とされて裸にされた様な「三猿」 帰りに「金谷ホテル」と「日光総合支所庁舎」に立ち寄りました。  「金谷ホテル」旧館 奥の建物が「日光総合支所庁舎」 「日光総合支所庁舎」は「金谷ホテル」から駅の方向に5分程歩いたところにあります。 明治38年頃着工、大正8年竣工の木造4階建の建物で、‘ホテル’として使用しようと地元の名士、小林庄一郎さんが建てたそうですがホテルとしての実績はなく、古河電工の工員アパートとして使用されたり進駐軍の社交場になったりした後、日光町に寄付されたそうです。  今も現役で活躍している建物 柔らかい光が入る紐で上げ下げする木枠の窓や、キシキシ音のする木の階段などがとても美しく、現実の世界ではない様でした。 東照宮一帯では何箇所かが修復作業中だったので 「何だよ、"金"半分返してくれよ。」 などと言ってる人もいましたが、私は通常なら見られないものを見られて得した気分でしたよ (*^^*)    

映像作品の可能性:例えば藤本直明の〈Immersive Shadow〉

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視覚の時代と言われています。 文章だけよりもインパクトのあるきれいな写真をプラスした方が多くの人に読んでもらえるそうです。 アートは視覚に訴えるもの。 ならばこの時代においてアートは有利かというとそうでもないと思います。 作家が伝えたい何かを読み解くのに若干の経験と訓練が必要な事は否めませんし、伝わりやすい強いメッセージ性のある作品も限られているからです。 ただそんな中でも 映像作品 は強い! 映像作品のどこが凄いかと言うと、まず鑑賞者はただ観ているだけでいい、というところです。 観ているだけで映像自からが作品を解説して伝えたいメッセージへと導いていってくれます。 *私の好きな作品に、フランシス・アリスの《実践のパラドクス1(ときには何にもならないこともする)》(1997)や、田中功起の《一つのプロジェクト、七つの箱と行為、美術館にて》(2012)があります。 フランシス・アリスの作品は、 別の作品になりますが 《川を着く前に橋を渡るな》が東京現代美術館の収蔵作品となっています。 また、田中功起の《一つの…》は国立近代美術館の収蔵作品となっていますので機会があったら是非ご覧になって下さい。     つまり、座って 観ているだけで 理解出来、満足感が得られるのです。 そして 言葉による解説が要らない という事は国境を容易に超えられる という事でもあります。 もちろん受け手の歴史的背景や現在置かれている環境によって受け取り方は違うけど、それらはすべて織り込み済みで、だからこそおもしろい! 海外では映像作品の所に多くの人が集まる傾向にある様に感じます。 座ってゆっくり見られるというメリットもありますが、現地言語による解説無しで作品に入っていけるというメリットが大きいと思います。 パリのパレ・ド・トーキョーでは拡張された地下スペースでより多くの映像作品が紹介されるようになりました。 整備途中の様にも見えるパレ・ド・トーキョーの地下スペース  一つの作品に様々な国籍の人たちが集まって見入り、作品からメッセージを受け取って時間と空間を共有している現場に出くわすと、世界平和って案外こんなところから始まるんじゃないの? などと能天気に考えてしまいます。 N.Y.のMoMA PS1では雲の様な巨大なク

東京都美術館にて「木々との対話」を観て

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東京都美術館で開催中の 「木々との対話ー再生をめぐる5つの風景」を観てきました。 とてもいい企画展でした。 この企画展は開館90周年の記念展で、 上野の 杜 にある美術館として 木 という素材とその奥深さに注目したもので、出品作家を思い切って5名に絞っていたのも良かったと思います。 会場に入ると、8000本の木と陶ブロックで組み立てた國安孝昌(くにやすたかまさ)さんの大作が目に飛び込んできます。 凄い迫力です。 國安孝昌さんの新作〈CHI VA PIANO VA LONTANO〉 尚、こちらの製作風景はロビー階の「木々のアトリエ」で、制作過程の写真と実際に使った材料の展示で紹介されています。 写真で15日に渡る制作過程を紹介 使われたのはこちら、杉の間伐材と陶ブロック *「木々のアトリエ」にはその他、一般に木彫で使われている木の大量なサンプルがあり、手で触れて木肌を確認する事が出来ます。 國安さんの作品と真逆の力で迫ってくるのが、須田悦弘(すだよしひろ)さんの作品です。 須田悦弘さんの作品、会場でひっそりと咲くユリ アートラウンジでは開館当初から使われている展示ケースの中に展示されている 須田さんの作品は「情報室」や「アートラウンジ」にも展示してあり、お宝さがしの様に館内をめぐる楽しさがあります。   また、別室に展開する土屋仁応(つちやよしまさ)さんの作品群は木なのにちょっと見ただけでは木に見えません。 題材は古典的なのにどこか未来的で独特の世界を展開しています。 作品を覗きこんだ人から「わぁ~」という静かなため息が聞こえる 土屋さんの 展示室  船越桂(ふなこしかつら) さんの作品は相変わらず素敵で 撮影不可だったのでポスターより 田窪恭治(たくぼきょうじ)さんの作品は、会場での旧作展示の他、新作が屋外にあります。 東京大空襲で被災した美術館が建つ前からそこにいた樹齢400年のイチョウの木と、ここで作られた彼の新作とのコラボです。 〈感覚細胞ー2016・イチョウ〉 出品作家のトークや学芸員によるギャラリートークなど関連プログラムも充実しているのでお勧めです。 10月2日まで。 今回の企画展では出品作

【アート通信ー7:銀座のリュクスなアートスポット】

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今回は、世界中で展開している美を追求する企業が文化支援の一環で運営しているアートスポットのご案内です。 美を追求する企業らしくどちらのスペースでもリュクスな気分に浸れるので、 銀座でちょっと時間が空いた時の立ち寄りにもお奨めです。  *いずれも無料です。 POLA MUSEUM ANNEX 銀座一丁目にあります。 化粧品で有名な株式会社 ポーラ が運営しています。 箱根の ポーラ美術館 以外でも気軽にアートを体感してもらいたいと本社ビルの3階で、企画展を展開しています。 建物は日建設計+安田アトリエによる設計(竣工:2009年) ガラス面のレースが優雅 ビルの入口付近、右脇のエレベーターより3階に上がる エレベーターの天井も美を追求する企業らしく美しい 現在は、9月25日まで 「ウルトラ植物博覧会2016」西畠清順と愉快な植物たちを 開催中です。 (11:00~、会期中無休) 珍しい植物が多く 暑い夏にぴったりの企画 入口で素敵な冊子「植物図鑑」を頂ける! 「植物図鑑」には展示中の珍しい植物の解説があり、勉強になる^^ 今回のみ会場から階段で2階の「HIGASHIYA」さんにアクセス出来る デザイン会社がプロデュースした素敵なカフェ「HIGASHIYA」入口付近にも作品が展示されている CANEL NEXUS HALL 銀座三丁目にあります。 ファッションブランド シャネル が運営しています。 創業者のココ・シャネルがアートを愛し、支援を惜しまなかったその精神を受け継ぎ、東京本社ビルの4階で写真の企画展を中心に展開しています。 建物はピーター・マリーノ+アソシエイト・アーキテクツの設計(竣工:2004年 ) 入り口から売り場を横切り左斜め奥のエレベーターから4階に上がります。 エレベーター内に描かれている軽やかな絵に心が躍ります 帰りは売り場を廻りながら階段でゆっくり下りると、シンデレラの気分を味わえます^^。 お急ぎならエレベーターで一気に下りても。 次回は 9月2日(金)より「ティツィアーナ&ジャン二 バルディッツォーネ写真展」が開催されます。 (12:00~、会期中無休) SHISEIDO