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【アート通信ー39:クリスチャン・ボルタンスキー】

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39回目のアート通信は、現在六本木の「国立新美術館」で大回顧展が開催されているフランスの現代美術家クリスチャン・ボルタンスキー氏(1944-)のご紹介です。彼は映像やオブジェ、そして近年は光、音、匂いといった五感に訴える作品を制作しており、現代、世界で最も重要な現代美術家の1人と言えるでしょう。 現在「国立新美術館」にて出品中の「スピリット」(2013) 彼の作品テーマは、〈生と死〉 〈存在と不在〉 〈記憶〉といったものがほとんどで、そこには常に 〈死〉 のイメージが付きまといます。ボルタンスキーが生まれた時、一家が住んでいたパリはナチスの占領下にありました。父親は改宗ユダヤ人だったので、密告・摘発を恐れ、離婚後に家を出たかのように偽装し1年半も床下に隠れていたそうです。彼は、「その経験と、終戦後に聞いた迫害・虐殺の話が自身に大きな影響を与えた。」と言っています。そして「家族から離れる不安感から初めて1人で外出したのは18歳の時だった。」と言うのですからその影響の大きさは計り知れません。 現在「国立新美術館」にて出品中の「発言する」(2005) 人型のオブジェは死後の世界への番人で、傍を通ると「(死ぬ時)怖かった?」など、問いかけてくる 現在日本で彼の作品を常設で観られるのは以下の3箇所です。 新潟県十日町市に存在する「 最後の教室 」(2006- *ジャン・カルマンと共同制作)は、廃校となった校舎(旧東小学校)を丸ごと使ったインスタレーション作品で、様々な方法で〈人の不在〉を表現しています。 * 不定期開館。2019年8月にツアーでの開館あり。詳しくは HP で確認を 。 また、香川県の豊島には世界中から集めた心臓音を聞ける小さな美術館「 心臓音のアーカイブ 」(2010-)があり、自身の心臓音を録音する事も出来ます。 島の外れの浜辺に建つ小さな建物で展開されている 浜辺はこの世ではないかのような静かさと美しさ。この景色までを作品と捉えて良いのでは? 同じく香川県豊島の静かな森には「 アニミタス(ささやきの森) 」(2016-)があります。はためく透明の短冊には訪れた人が記載した大切な人の名前が、風鈴の音色と共にはためいており、そこはまるで永遠の時を刻む聖地のようです。 「アニミタス(囁き