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作家にプレゼン能力は必要か?

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作家はトークが上手でなければいけないのか? そんな事はまったくないと思います。 「美術作品に解説は必要か?」 の続編です。 まずは私ごとで恐縮です。 今 の私を知る人は驚くかもしれませんが、 私が美術を好きになったのは、喋らなくていいからです。 物心ついた頃より、"話す"という事が何より嫌いだった私は、絵を描く時間、何かを作る時間は至福の時でした。 そして何より自分が作ったものに人が集まり、あ〜だこーだ言ってくれる事が "そーなのよ!" ということ事だったりしますから、 ‘作る’ という行為はそのまま ‘自分の代弁者を作る’ 作業でもありました。 (もちろん、幼い頃の話なので伝えたいのは単純なことだったので伝わったのだと思いますが・・・) そして 美術鑑賞は、私にとって 喋らず作り手と会話が出来る素晴らしいものでした 。 ところで、近頃の作家は自分の作品を言葉で説明するのがとても上手です。 もしかしたらその様に訓練されてきているのかもしれないし、凄く努力しているのかもしれません。 だけど余りにも上手だと、"この人はなんで作家になったんだろう?" などと考えてしまいます。 "そんなにトークが上手なら別の仕事でも良かったんじゃない?" という考えがよぎってしまうのは下手な者の僻みでしょうか。 やはり、作家は黙っていても作品が語ってくれるように制作時に精一杯魂を注入すべきです。 とは言え、ほんのわずかな ‘ずれ’ も生じず製作者の意図がそのまま伝わる事は、恐らくないでしょう。 逆に、各自に生じた ‘ずれ’ を伴って作品が独り歩きしだした時、鑑賞は最高におもしろいものになると思います。 一方、鑑賞者の方も鑑賞力を磨きたいものです。 それにはたくさんの良質なものを観る事が一番ですが、難しく考えず 「これからの美術館辞典」を観て でも触れた、アラヤー・ラートチャムルーンスックによる「ミレーの<落ち穂拾い>とタイの農民たち」の鑑賞者の様に、自由に解釈して楽しむおおらかさが大事なのではないでしょうか。  

「鈴木理策写真展 意識の流れ」を観て

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オペラシティーにある アートギャラリー で開催されている「鈴木理策写真展 意識の流れ」にお邪魔しました。 彼の写真は何を表現したいのかが明白で観ていて気持ちいいし、観ていると、知っているはずなのに知らなかった景色(世界)に、ぐいぐい引き込まれていきます。 鈴木理策「海と山のあいだ 14,DK-294/1014」 鈴木理策「海と山のあいだ 14,DK-335/2014」 鈴木理策「水鏡14,WM-77/2014」   テーマにより展示スペースの明るさが違い、そのころあいも絶妙で写真をみせる環境の重要性を再認識しました。   映像や「White」シリーズなどでは写真表現の多様性を探っており、「Étude」では展示方法への工夫がみられ、今後の展開にも期待が持てます。   9月23日(水)まで。      

「これからの美術館辞典」を観て

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国立近代美術館 にて「これからの美術館辞典」を拝見して来ました。 この企画展は辞典を開いていく様にA~Zのキーワードによって作品などを紹介していく、珍しいタイプの企画展です。 私は特に以下の事にこの企画展の意義を感じました。 [5館による合同展] 普段眼にしない遠方の美術館の所蔵品も鑑賞出来、そちらにも伺いたいと他の美術館への興味にも繋がった事。 [企画展の作り方を紹介] 普通の人は美術館企画展の成り立ちを知らない。 ひとつの企画展が出来上がるのにどのぐらいの日数やエネルギーを要するのか、どのぐらい緻密な準備が必要なのか、どの様な人々が関わっているのか、などが分かるとそれだけではなく、観覧料も安く感じられ、鑑賞出来るありがたさも感じられると思った事。   [展示空間の工夫] 各ブースを完全に区切るのではなく、壁面の一部を切り取り、そこから隣のブース、もしくはスペース外の空間も望め、あらゆるものがアートにになり得る事を暗示していた事。 ブースを区切る壁面に開口部。そこから外部空間が望める。 開口部をフレームで囲う。向こう側から覗いた人の顏は肖像に、景色は抽象画に? 全体としては、企画展の性質上しょうがないのかもしれませんが、文字による解説が多く、ちょっと教科書を読む感じになってしまいました。 そんな中で、個人的に気に入った作品は  アラヤー・ラートチャムルーンスックによる「ミレーの<落ち穂拾い>とタイの農民たち」 作家の故郷で、ミレーの<落ち穂拾い>を見せて自由に語ってもらったドキュメンタリー的な映像作品です。 ‘タロイモ’取ってるのかな?’ ‘乾季だから一杯取れるね’ ‘火事があったのかな?’ などとても自由な発想で楽しそうにおしゃべりしています。 これこそ、鑑賞の基本! 私はかなり感動しましたが、‘おもしろい!’と笑っている人もおり、それも良しでしょう^^。 美術館のあるべき姿、原点に戻った様なこの企画展は、2015年9月13日(日)までです。