【アート通信ー106:「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」展】
106回目のアート通信は、現在東京都現代美術館にて開催中の 「坂本龍一 | 音を視る 時を聴く」展 からです。 展覧会会場より 坂本龍一氏 (1952-2023)は、東京藝術大学大学院修士過程終了後ソロデビューし、「Yellow Magic Orchestra」を経て、映画音楽の作曲や演奏など、様々な分野で活躍しました。環境や平和問題へも積極的に取り組んでいた事でも知られています。多くの賞も受賞しており、世界的な音楽家であった事は周知の事実ですが、実は、様々なアーティストと協働で、 音の視える化 、 音を空間に設置する 試みを行なっていました。 この展覧会は、そんな新しい時代を切り開きながら走り続けた氏の活動を紹介する 日本で最大規模 のもので、これだけの世界的アーティストと共に紹介されるのはおそらく最後になるだろう、と言われています。 『坂本龍一 + 高谷史朗 (LIFE-fluid, invisible, inaudible...) 2007』展示風景 展覧会は、時に彼が追求してきた 音と時間 をテーマになっています。それが分かりやすいのがこちらの高谷史朗氏との共働作品、『坂本龍一 + 高谷史朗 (LIFE-fluid, invisible, inaudible...) 2007』です。 霧の発生する9つの水槽に映像が投影され、床に 映し出されてえいます。観客はそこを歩みながら、9つの異なる場を散歩している不思議な体験が出来ます。 *高谷史朗氏 (1963-):京都市立芸術大学美術学部環境デザイン科を卒業後、1984年よりアーティストグループ「ダムタイプ」の活動に創設メンバーとして参加し、様々なメディアを用いたパフォーマンスやインスタレーション作品を制作。1998年からは、個人の活動も開始した世界的アーティスト。 「坂本龍一 with 高谷史朗《IS YOUR TIME》2017/2024 こちらは、水盤の上に置かれたピアノ。2011年の東日本大震災の津波で被災したピアノです。坂本氏はこれを “自然によって調律されたピアノ” と捉えており、世界各地の地震データよる音の中、天井のスクリーンには雪が舞い降りています。不気味でもあり美しくもある、時空間を超えた景色です。 その他も、中谷芙二子氏、真鍋大度氏、カールステン・ニコライ氏など各分野のトップとのコ...